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 進化の過程で、海にいた魚が川や湖で暮らせるようになった理由の一端を国立遺伝学研究所などの国際研究チームが解明した。必須脂肪酸の「DHA(ドコサヘキサエン酸)」を体内で合成する遺伝子が増え、海と比べてDHAを含むエサが少ない環境に適応したという。31日、米科学誌サイエンスに発表する。

 魚は海で誕生した後、メダカやピラニアなど様々な種が淡水の川や湖に生息域を広げてきた。一方、ヒラメやクマノミなど海にとどまり続けている種もいる。研究チームは、その違いの理由を調べるため、川で生まれて海に下るイトヨと、海でほぼ一生暮らすニホンイトヨの遺伝子を比べた。

 その結果、ニホンイトヨは魚の成長に欠かせないDHAの合成に関わる遺伝子が一つだったが、イトヨは二つ以上持っていた。約50種の魚の遺伝子を調べたところ、淡水魚はこの遺伝子を複数持っていた。この遺伝子の数が多いほど、DHA合成量が増えるという。

 北野潤教授は「今回の研究のように、魚が新しい環境で生き延びられるかどうかは特定の遺伝子を調べることである程度推定できるだろう」と話した。

 研究成果はサイエンス(https://doi.org/10.1126/science.aau5656別ウインドウで開きます)に掲載される。(杉本崇)