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 3年前に米国サンフランシスコに移住した劉建(50)は昨年末、自宅で18歳の娘と話していた。「来年は2019年だな。中国は9のつく年に重要なことがあるんだ。(建国の)1949年、89年の六四(6月4日の天安門事件)……」

 「6月4日って何かの記念日だっけ?」

 「天安門広場で民主化運動が起きて、人民解放軍が学生たちを殺したんだよ」

 「あり得ない!」

 若い世代にとって「六四」はただの日付でしかなかった。その時、30年前に撮った写真のことを不意に思い出した。

 運動に参加した劉はニコンのカメラを手にほぼ毎日、現場を撮った。約2千コマ分のネガフィルムを保管したまま忘れかけていた。「自分は事件の真相を記録した『証明書』を持っているじゃないか」

 民主と自由を訴える横断幕、ハンガーストライキ中の学生たち。写真は彼らと同じ視線で当時の様子を捉えていた。

 事件後、当局は各家庭を訪ねてフィルムや写真を回収。街の写真店に現像を頼むと、そのまま没収された。デザイン系の学生だった劉は暗室を使えたため、没収を免れた。

 卒業後、写真撮影会社を経営した劉は政治から距離を置き、経済発展に突き進む国の歩みに合わせて金を稼ぎ、子供を育てた。「政府の対応は正しかった」と思うようになっていた。

 しかし渡米後、報道や資料に接し、学生運動を「反革命暴乱」とした共産党の評価に改めて疑問を抱くようになった。多くの人に写真を見てもらいたいと考え、在米人権団体「人道中国」に寄贈した上で公表することにした。「学生たちは国を愛していた。それを軍が銃で鎮圧した。そんな歴史を若者にきちんと知ってほしい」

     ◇

 「天安門事件は、中国の歴史で最も研究の難しいタブーだ」

 30年近く亡命生活を送りながら事件の検証を続ける呉仁華(62)は5月18日、台北で開かれたフォーラムで講演した。

 「体験者として、歴史家として…

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