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 がんの治療と仕事の両立がしやすくなるよう、国立がん研究センターは30日、企業向け冊子「がんになっても安心して働ける職場づくり」を作り、公表した。支援時に心がけるポイントや両立を経験した人の事例などを紹介。患者やその家族にも参考になる。

 がんは、生涯のうちに2人に1人がかかる。医療技術が進歩し、通院治療しながら職場に復帰する人も増えている。2016年の厚生労働省の調査によると、仕事をしながら治療するがん患者は36万人超。がんは年をとるとなりやすいため、定年延長が進むと両立支援の必要性は増す。

 冊子は、「会社側が配慮すれば貴重な人材を失わずにすむ」「『診断されても安心』が、社員のパフォーマンスを支える」などとして、がん対策は健全な経営に欠かせないと紹介。いつ誰ががんになるかわからないので、がんと就労にかかわる情報を集めておき、制度の一覧や支援窓口を準備しておくことを推奨する。

 実際に社員が診断されたときには、どう対応すべきか。「気持ちに寄り添う」「状況の変化に柔軟に対応する」「周囲の社員への配慮も忘れない」など心がけるべき7カ条を載せた。通勤ラッシュがつらい場合には時差出勤や短時間勤務を認める、食事をわけてとる必要がある際には在宅勤務を認めるなど、働き続けてもらうための配慮例も示している。

 センターの高橋都がんサバイバーシップ支援部長は「がんになっても安心して働ける仕組みを企業が整えれば、貴重な人材を失わずにすむ。従業員の健康管理を超えて経営課題でもある。がんのイメージに振り回されず、落ち着いて対応できるよう活用してほしい」と話す。

 センターは14年から、両立支援に取り組む企業や経験者を紹介するプロジェクトを続けている。その成果や課題を広く発信しようと両立経験者や企業の人事担当者らとともにまとめた。

 冊子は、大企業編と中小企業編があり、同センターのがん情報サービス「がんと共に働く」のサイト(https://ganjoho.jp/pub/support/work/別ウインドウで開きます)からダウンロードできる。(月舘彩子)