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 経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)は30日、関連会社株の譲渡と引き換えに、大株主である官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)から追加支援を受けると発表した。この追加支援策を踏まえ、出資の受け入れ交渉をしている中国・台湾の企業連合から、6月14日までに出資の実行に必要な手続きをとるとの報告を受けたと説明した。一方、最大800億円としていた金融支援の総額が減らされる可能性が出てきた。綱渡りの資金繰りが続いている。

 発表によると、有機ELパネル開発の関連会社JOLED(ジェイオーレッド)の全株式をINCJに譲渡し、INCJからの借入金約447億円と相殺する。中台連合の傘下入りと同時に受ける予定のINCJからの金融支援1520億円のうち、長期借入金を770億円から500億円に減らし、優先株の発行額を750億円から1020億円に増やして資金繰りの改善を図る。さらに、大口顧客の米アップルからの前受け金約1千億円について、毎月の返済額を半額に減らして返済期間を延ばす。主力のスマートフォン向け液晶パネル事業を今年9月末までに分社化し、リスク軽減を図ることも検討する。

 関係者によると、今月26日、東京都内の弁護士事務所にJDI、中台連合、INCJ、アップルの関係者が集まり、アップル幹部が参加者に「我々も協力するので(支援に)協力してほしい」と呼びかけた。アップルが契約条件の変更などに応じたことから、難航していた中台連合との交渉も進んだという。

 JDIは中台連合に420億円分の株式と、株式に転換できる社債180億円分を買ってもらい、資金需要に応じて転換社債200億円分を追加発行する予定だったが、JDIの経営状況が想定よりも悪化していることなどから、中台連合は金融支援の正式決定を延期。中台連合3社のうち、中国の大手投資会社ハーベストグループが追加の転換社債200億円分の支援に慎重になっている。JDIは、この200億円を車載向け液晶パネル事業への設備投資などに充てる考えで、調達できなければ「資金繰りが悪化することで事業成長が鈍化する可能性がある」としていた。

 JDIは2019年3月期決算で5年連続の赤字に陥り、自己資本比率は債務超過寸前の0・9%まで低下している。主力の中小型液晶パネル事業は、スマホ市場の停滞などで19年度も「売上高が減少し、引き続き営業赤字になる」と見込んでいる。(小出大貴、高橋諒子、笹井継夫

JDIに対する追加支援や新たな動き

・JDIが有機ELパネル開発の関連会社JOLEDの全株式をINCJに譲渡し、INCJからの借入金約447億円と相殺

・INCJからの金融支援1520億円のうち、長期借入金を770億円から500億円に減額し、優先株の発行額を750億円から1020億円に増額

・中台連合がJDIに対し、6月14日までに金融支援の実行に必要な手続きをとると報告

・米アップルからの前受け金約1千億円について、毎月の返済額を半額に減らして返済期間を延長

・JDIが主力のスマートフォン向け液晶パネル事業の分社化を検討