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 「氷河期」と言われるほど冷え込む中国メディアの現場。習近平(シーチンピン)指導部の発足後、新聞やテレビなど伝統メディアへの締め付けが強まると、調査報道の記者たちは一時、急速に発達したネットメディアに活躍の場を移した。だが、開きかけた花はすぐにしおれてしまった。ネットを活用したのは、記者だけではなかったからだ。(文中敬称略)

独自の取材、評論は禁止

 各ネットメディアの管理者には今、政府の管理部門から「みんないますよね」という符丁を付けたショートメッセージが1日に何度も届く。例えば2月にはこんな内容が流れた。

 「習近平総書記が開いた会議の記事は、パソコンとアプリのトップページで一番上に配置するように。二番目には習氏と外国要人の会見の記事を」

 「『中国が2030年に4隻の国産空母を建造』と海外メディアが報じたという記事は削除するように」

 「江西省で起きた無差別殺傷事件では、必ず権威部門(政府の発表や新華社の報道)が流した情報を使うこと。血が写っている写真の動画や写真は禁止。記者は派遣しないこと」

 「(党幹部とのつながりが指摘される企業)安邦集団への国の監督が延長される報道は公式発表を使い、あっさりすますこと。独自の取材、評論、解説は禁止。トップへの配置や速報を流すのも禁止」

 メッセージがいつ届くかは分からない。ただ、指示は絶対だ。独自取材が禁じられれば、現場に到着した記者も戻ってくるしかない。

 その結果、新聞だけでなく、ネットメディアの見出しや内容もほとんど同じになっている。トップニュースはほとんど習に関するものだ。

ネットでも記者証

 中国でも各メディアが報じた記事は、日本で言えばヤフーのようなポータルサイトに転載される。

 ネットメディア幹部によると、新華社通信など転載してもよいメディアが当局から指定されており、改革派メディアは事実上、ブラックリスト扱いだ。いったんお墨付きを受けたサイトに載せてもらい、再転載する「洗稿」(原稿ロンダリング)をすることもあるが、その報道を広く伝えることが難しくなっている。

 中国メディア関係者によると、当局の締め付けが強まった2013年から15年ごろ、多くの記者が自由に書ける場所を求め、「新浪」や「網易」などの新興ネットメディアに転職した。速報性が重視されるため、事前のチェックはそれほど厳しくない。パソコンやスマホの普及もあり、独自の調査報道や評論が人気を集めた。

 だが、共産党や政府も手をこまぬいてはいなかった。15年11月、国家インターネット情報弁公室は、ネットメディアの記者も政府が発行する記者証がなければ取材できない仕組みを導入。関係者によると、16年夏から年末にかけてネットメディアによる独自の報道や評論が禁じられた。

 実際には、企業取材や芸能など締め付けが厳しくない分野では、記者証がなくても取材をしている。だが、あるネットメディアの記者は「当局が気に入らない内容を取材した時、記者証がなければ問題にされる可能性がある」と話す。威嚇効果は十分だ。

 ネットメディアからも記者は去っていった。

「市民の権利のために働く」

 辞めた記者たちはどこへ行ったのか。

 中国経済時報などで記者を務め…

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