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 新顔3人が立候補した堺市長選(9日投開票)は大阪維新の会と反維新勢力の事実上の一騎打ちの構図だが、論戦がかみ合わない状況が続く。反維新側は維新が推進する大阪都構想への反対を掲げるが、維新は竹山修身前市長の政治資金問題をめぐる「政治とカネ」が争点だと主張。背景に選挙戦を優位に進めたい両陣営の思惑も見え隠れする。(吉川喬、加戸靖史)

 反維新勢力が支援する無所属で元堺市議の野村友昭氏(45)は2日、堺市役所前での演説で、「都構想は政令指定都市・堺市の権限、財源を大阪府に戻すものだ。住民の自治が失われ、住民サービスが低下する」と訴えた。

 都構想は大阪市を無くして東京23区のような特別区に再編する制度改革だ。野村氏の陣営は、維新が市長のポストを取れば堺市も都構想の対象になると強調。野村氏は「NO都構想」をスローガンにし、演説で「堺を守る」と繰り返す。

 反都構想を強調するのは過去2回の市長選での「勝ちパターン」があるからだ。前市長の竹山氏は反都構想を掲げて、維新をはねつけてきた。陣営幹部は「堺市民の都構想への拒否感は強い」と語る。

 一方、維新公認で元府議の永藤(ながふじ)英機氏(42)は2日、堺市西区での演説で「次の世代にも誇れる堺を残していきたい」と訴えたが、都構想には触れなかった。

 4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選を制し、勢いに乗る維新だが、今回の選挙では相手陣営の「堺が無くなる」との訴えが「単純で市民に響きやすい」(幹部)と懸念する。維新は大阪市での都構想議論の延長線上に堺市も見据えるが、今回は都構想の是非を議論しない戦略だ。

 永藤氏は都構想について、大阪市での動きを見極めた上で次回以降の市長選で争点になるとの考えだ。まずは大阪府・市との連携が必要とし、「大阪全体の成長を堺に呼び込む」と訴える。

 こうした中、維新代表の松井一郎・大阪市長や同政調会長の吉村洋文知事は期間中に2日しか応援に入っていない。維新幹部は理由をこう明かす。「府と大阪市が堺に乗り込むような印象をできるだけ避けたい」

 今回の市長選は、2億3千万円を超す政治資金収支報告書の記載漏れを理由に竹山前市長が辞職したのを受けて実施される。ただ、「政治とカネ」をめぐる論戦も深まっていない。

 「政治資金問題で辞職した前市長を応援した当人が立候補している」

 維新の永藤氏は1日、南海堺東駅前での演説をこう切り出し、前回市長選で竹山氏を推薦した自民党に所属していた野村氏を批判した。永藤氏は竹山氏の問題を冒頭で取り上げ、「追及を続ける」と強調。陣営の維新市議は「最も反応がいい。野村氏が事実上、竹山氏の後継だということが伝えられれば」と話す。

 一方の野村氏。2日の演説で「クリーンな政治を進める。政治資金パーティーはせず、企業・団体献金も受けない」と強調した。陣営関係者は「相手が『政治とカネ』ばかり言うなら、『それは当然しっかりやる』と最初に言って、争点でないことを示す」。

 ただ、竹山氏の問題について野村氏は「辞職は当然。私は議会でも質問してきた」と選挙戦で触れているが、今後も追及を続けるかは明らかにしていない。

 政治団体「NHKから国民を守る党」代表の立花孝志氏(51)は都構想について「個人的に堺ではやめた方がよいと思うが、住民投票で住民に決めてもらう」と主張。「私は選挙にお金をほとんど使わず、日本で最もクリーンな政治家だ」と訴えている。