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 大学野球日本一を決める全日本大学野球選手権大会に愛知工大が23年ぶりに出場する。プロ野球・ロッテ時代にパ・リーグ首位打者に輝いた平井光親氏(52)が監督に就任して3年目のチームは、大会初日の10日に東京ドームで1回戦を迎える。平井監督は「ずば抜けた選手はいないけれど、全員野球で戦ってきた。つなぐ野球を全国でも見せたい」と話している。

 「去年からは想像もつかなかったです。こんな風になるなんて」。5月に愛知大学リーグで優勝を決めた後、市川晃大主将(4年、三重・いなべ総合)が言った。チームは昨秋までリーグ2部。1部は2012年春以来で、優勝は1999年秋以来、18度目のことだった。

 頂点への原動力に平井監督が「フル回転してくれた」と最初に名を挙げたのは投手の新村将斗(3年、愛知・桜丘)。チーム9勝のうち6勝を先発と救援で3勝ずつあげ、リーグ最優秀選手にも輝いた。最速143キロの右腕は「打線が打ってくれて点を取られてもいいという心の余裕があった。3点までなら取られてもいいと、気持ちが楽になって投げられた」。

 チームの打率2割9分3厘はリーグ2位で、73得点はトップの成績。同校OBで1991年のパ・リーグ首位打者だった平井監督は、「僕は『こうして打て』とは言わない。だいたい本人の打ち方です」。選手に求めるのは、「ファーストストライクから自分のスイングをすること」。「打たされるやつはいつまでも進歩しない」と、春季リーグ前に練習試合のあとも選手たちに語っていた。

 市川主将は技術面よりも、考え方を監督から教わったと言う。「打席で何を狙うとか、どういう待ち方をした方がいいとか」。現役引退後、小学生が戦うNPB12球団ジュニアトーナメントでロッテジュニアの監督としてチームを優勝に導いたこともある平井監督は「現役の頃から大学の監督をやってみたいというのがなぜか口癖でした。言ったことを理解してくれるかなと思ったしね」と笑う。

 88年のドラフトでロッテから6位指名された平井監督が愛工大の選手だった頃は、のちに日本ハムなどで活躍した投手の西崎幸広氏が2学年先輩にいて秋の明治神宮大会でチームは85年に準優勝、86年は優勝した。一方、全日本大学選手権は在学中に3度出て1勝で、愛工大の過去最高は77年の4強だ。

 今大会の初戦の相手は、昨年8強の東日本国際大(南東北大学野球連盟)。2回戦まで試合会場が東京ドームの組み合わせの愛工大は、「二つ勝って神宮球場に行こう」がチームの新たな目標だ。「優勝なんてでかいことは言わない。まずは、神宮に行こうって」と平井監督。そして、春先と同様に「でも、やってみないと分からないですからね」と目を細めた。(上山浩也)