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取材考記 機動特派員・村上太輝夫

 中国で学生らによる民主化運動が弾圧を受けた天安門事件から30年の節目を迎えた今年は、米中対立が深刻化する局面と重なった。米国を拠点に中国の民主化を訴え続ける人々にとって、このことは何を意味するのだろう。

 明治大学現代中国研究所が1日に開いたシンポジウムに出席した胡平さん(71)をつかまえ、尋ねてみた。愚痴まじりの答えが返ってきた。「米国の対中政策に歓迎すべき面はあるが、中国は永遠に民主化しないとか、普遍的価値を受け入れない国だといった見方が出てきた。これはよくない」

 北京で哲学を研究していた胡さんは1980年代、「言論の自由を論ず」という論文で大きな反響を呼んだ。天安門事件時は既に渡米していたが、学生運動を理論的に準備したとも言える。言論の自由を人権の中核に位置づけ、民主制、法治と関連づけた周到な論文は石塚迅・山梨大准教授の翻訳で読むことができる(現代人文社刊「言論の自由と中国の民主」)。

 この論文づくりに着手した70年代は、考えを深めようにも周囲に欧米の文献がなかった。ロックやミルといった思想家の名前は聞いたことがある程度。「遠くから歌が聞こえるが何の歌かわからない」という感じだったそうだ。

 それでも自力で自由主義思想にたどり着いたのはなぜか。のちに胡さんは米国の学者が書いた論文を見つけた。16世紀の欧州で宗教対立に伴う迫害が激化し、それに対する恐れが自由主義を生んだと論じていた。抑圧あるがゆえに自由を求める。政治的迫害が頂点に達した文化大革命期をくぐり抜けた自分も同じ過程をたどったのだと胡さんは自身の謎解きをした。

 「だからこれは外来思想ではな…

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