完全再現、なりきりフェルメール 眼鏡かけた「注ぐ女」

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田中ゑれ奈
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 あなたも、あの名画の一部に――。美術家森村泰昌さん(68)がプロデュースした空間で、17世紀のオランダを代表する画家フェルメール作品の登場人物になりきれる展覧会が開かれている。絵の世界を忠実に再現した室内セットで写真撮影できるのが見どころだ。

 大阪市在住の森村さんは名画や歴史上の人物に扮したセルフポートレートという手法で知られる。昨年秋、家具店だった2階建てビルを改修して大阪市住之江区の北加賀屋に私設美術館「モリムラ@ミュージアム(M@M)」をオープンした。

 ここで開催中の特別展「モリメール あなたも『フェルメール』になれる」展で、森村さんがフェルメールの絵画空間を実物大で再現し、自ら登場人物に扮した写真作品や関連資料など約20点を紹介している。

 さらに、撮影で使った「牛乳を注ぐ女」と「絵画芸術」の室内セットを展示している。鑑賞者は作品の中に入って「絵画の中にたたずむ感覚」を体験できるほか、小道具などのなりきりセット(500円)を使って写真撮影も楽しめる。

 注目すべきはその「リアルさ」。作品の前に設置された鑑賞ポイントからのぞけば、家具の配置やカーテンのひだ、壁に貼られた地図の細かい文字まで絵とそっくり。左側の窓からは白い光が差し込み、テーブルに置かれた布やパンの質感はしっとりとまるで油彩で描いたように見える。

 一方、作品の内側や周囲から角度を変えて観察すると、少し不思議な点にも気がつく。正面からだと四角形に見えた「牛乳を注ぐ女」のテーブルは、実はいびつな六角形で、上の物は不自然に鑑賞者側に寄っている。「絵画芸術」のテーブルは極端に細長く、部屋全体も絵の印象よりずいぶん前後に広いことがわかる。

 フェルメール作品は三十数点しか残っていないとされ、登場人物やモチーフなど絵の解釈をめぐっての議論もさまざまある。

 そんな「謎の画家」について、森村さんは「フェルメールはうそをつかない」と言う。フェルメールは遠近法をわざと狂わせることで作品に充実感を与えたと指摘する研究者もいるが、絵の要素の形や配置を工夫すれば現実の立体空間として完全に再現できることに気づいたという。「自然なものって普通は意外とつまんない。退屈にならないようものすごく緻密(ちみつ)な計算をしつつ、それに気づかせないのがフェルメールのマジック」と語る。

後半は、小学2年の少年が「真珠の耳飾りの少女」に変身。メイク&撮影現場に密着しました。

 特別展では、森村さんの専属…

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