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 内戦下のシリアで、反体制派の最後の大規模拠点である北西部イドリブ県でのアサド政権軍側の攻勢が止まらない。トランプ米大統領は、「市民の虐殺をやめろ」と警告。一方、政権を支援するイランの動きに神経をとがらせるイスラエルは関連施設への相次ぐ空爆で圧力を加え、緊張が高まっている。

 イドリブ県周辺では4月末からアサド政権軍と支援するロシア軍による空爆や砲撃が激しくなり、国連によると先月28日までに市民160人以上が死亡し、27万人以上が避難を余儀なくされている。これを受け、トランプ氏は2日、アサド政権やロシアを名指しし、「多くの無実の市民が無差別に殺され、世界がこの虐殺を見ている。やめろ」とツイッターに投稿した。

 一連の戦闘をめぐり、米国は先月21日、政権軍がシリア北西部で塩素ガスを含む化学兵器を使った疑いがあるとの声明を発表し、事実であれば攻撃も辞さない姿勢を示した。イドリブ県一帯は昨年9月、政権支援のロシアと反体制派を支えるトルコが非武装地帯の設置で合意した。しかし、過激派組織が同県を実質的に支配する状態になり、政権軍とロシアは「市民をテロから守っている」と軍事作戦を正当化している。

 さらに、シリア国営通信は2日、同日夜に中部ホムス県の政権軍基地がイスラエル軍のミサイル攻撃を受け、兵士1人が死亡したと報じた。反体制派の在英NGO「シリア人権監視団」は、この基地に政権軍を支援するイランの革命防衛隊の倉庫などがあったとしている。イスラエル軍は同日未明にも首都ダマスカス近郊などに空爆を加え、監視団によると、政権軍兵士3人を含む10人が死亡したとしている。

 トルコの支援を受ける反体制派が支配する北部アザズでは2日夜、モスク(イスラム礼拝所)の近くで車爆弾が爆発した。AFP通信によると、人権監視団は19人が死亡したとしている。犯行声明は出ていない。(イスタンブール=其山史晃)

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