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 生まれたら名前より先に国が発行するID番号を渡される国がある。東欧のエストニアだ。行政、病院、銀行のほか、薬局や本屋など生活のあらゆる場面で、ID情報を読み込むための電子カードが使われる。2002年から始まったこの制度。電子国家の先駆けであるエストニアの電子生活をのぞいてみた。

電子ID、生活に密着

 「電子IDをお持ちですか」と聞くと、ほとんどの人が抵抗なく財布からIDカードをさっと出して見せてくれる。「名前を名乗るみたいなものですよ」。タクシー運転手の男性は言う。

 15歳以上のエストニア人は電子IDの所持が義務づけられている。

 カードには、11桁のID番号のほか、名前、生年月日、性別が書かれている。11桁をすらすら言える人も。「番号の先頭7桁は生年月日と同じだし、何回も使っているから忘れないよ」と話す。

 IDには行政情報の99%がひも付いている。含まれていないのは、離婚の情報と不動産取引の情報だけだ。

薬局でID渡すと処方薬

 ある薬局の窓口でIDを差し出すと、処方箋(せん)の情報に基づき、2分後には該当する薬が自動的に選別されて出てきた。病院では保険証の代わりになる。医師は一元的に患者の情報が分かり、薬の履歴や病歴も一覧化されている。患者が薬を持ち帰ったかどうかを医師に伝える仕組みもあるという。

 こうした電子医療管理サービスは、08年から始まり、使いやすさを加速させた。

 さらに身近な使い方もある。「本屋でIDを見せると、クーポンがもらえますよ」と首都タリン在住のアレクサンダー・グツォフさんが教えてくれた。スーパーなどでも電子IDを見せてクーポンをもらうのだという。店の会員証代わりだ。「便利なことだけで不便なことは何もない」そう言い切る。

懐疑的だった導入直後

 エストニア政府によるとエストニアでも最初の5年間は、サービスは広がらなかったという。

 首都タリンに住む自営業のヤンネ・ファンクさん(48)は、「最初はエストニアでも懐疑的でした。でも実際に使ってみると、とても使いやすいのです」と話す。利便性が普及を後押しした。

 銀行口座のネットバンキングの認証は電子IDが使える。電子IDと銀行のインターネットバンキングのサービスが融合されたことが、普及が一気に進んだ理由の一つだという。そこから、医療分野や税務処理など各種サービスに広がっていった。

■なぜ電子政府…

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