27年前発見「謎の甲虫」、新種と判明 でも既に絶滅?
杉浦奈実
愛媛大や九州大などの研究チームが、青森県で27年前に見つかった謎の甲虫が、新種だったとつきとめた。ただ、この間にすみかの湿原の環境が大きく変わったうえ、この虫は羽が退化して飛んで移動することができないため、すでに絶滅したおそれもあるという。
愛媛大の吉田貴大研究員らは、青森県内の湿原で1992年に虫を採集した人の依頼で、名前が不明だった体長3ミリほどの虫の標本を調べた。すると、触角や胸部の形などから新種と判明。くびれた体形から「ヒョウタンホソヒラタムシ」と名付けた。
ただ、これまで見つかっているのは標本の5匹だけで、生息地は発見場所の湿原以外に知られていない。湿原は乾燥化が進んで草原になり、虫がすみにくくなったと考えられる。この虫は後ろ羽が退化して飛べないことから、別の場所に移ることも難しい。
先月、周りに残る湿原でも探したものの、1匹も見つからなかったという。吉田さんは「さらに調査が必要だが、絶滅しているとすれば残念なことだ」と話す。湿原は乾燥化や開発などで全国的に減っており、「湿原環境を守る必要がある」と訴えている。
論文は3日、チェコの学術誌「Acta Entomologica Musei Nationalis Prague」(http://aemnp.eu/PDF/59_1/59_1_211.pdf)に掲載された。(杉浦奈実)
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