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 鹿児島県さつま町議会(定数16)の6月定例会が4日開会したが、6日の一般質問に立った議員は1人だけという「過去に例がない事態」(議会事務局)に陥った。唯一の質問者は定例会で欠かさず質問を続けているベテラン。「もの言わぬ議会」との批判を浴びかねない状況で、危機感を強める議長と議会事務局は議会の活性化に懸命になっている。

 一般質問は、町が提出した議案に関係なく行財政全般についてただすことができ、議員にとっては一問一答のやりとりで当局に迫る見せ場でもある。

 しかし議会事務局によると5月29日の締め切りまでに質問を通告したのは4期目の川口憲男議員(72)だけだった。質問は自分だけという事態に、川口議員自身が「ともかく驚いた」。

 30日の議会運営委員会で報告され、平(ひら)八重(ばえ)光輝議長は翌31日の全員協議会で、改めて一般質問の重要性を訴えたが、6月議会に関してはあとの祭り。川口議員に対しては「ゼロにならなくて本当によかった」と感謝の言葉をかけたという。

 現在の議員16人は2017年4月の町議選で無投票当選。同年6月以降の定例会では毎回5人前後が一般質問に立ち、最も少なかった18年3月の定例会でも3人だった。議会事務局によると、3町合併後の05年6月議会以降、今回の1人が最も少ないという。

 川口議員は「一般質問は議員の権利。行使するのは議員の使命」が信条で、定例会での質問を欠かさず、新人議員にも積極的な質問を働きかけているが、議員の中には「質問するだけが議員の仕事ではない」という人もいる、と明かす。

 ほかの議員が名乗りをあげなかったことについて、議会事務局は「なぜこうなったかは分からない」と戸惑うばかり。17年の改選直後には議会活性化調査特別委員会が設置されている。

 定例会ごとに発行されている「議会だより」では昨年秋から一般質問の紹介を、議員2人で1ページから1人1ページにするなど、議員の意欲向上を図ってきた。

 それだけに平八重議長も失望の色を隠せない。「全員協議会などでは活発なやりとりがあり、議員が沈黙しているわけではない。ただ、真剣な取り組みが町民に見えない今の状況は早急に改善したい」として、9月定例会に向けて議員への働きかけを強める考えだ。

 議会事務局も、過去の一般質問の項目をとりまとめた参考資料を作成、議員全員に配って質問の準備をサポートするという。同時に議会傍聴やネット中継の視聴など町民への呼びかけも強めたいとしている。(城戸康秀)