映画「空母いぶき」の戦わない勇気 軍事リテラシーとは

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太田啓之
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 海外の軍隊に武力占拠された孤島を奪回するため、自衛隊が初の実戦を経験するという映画「空母いぶき」が公開中だ。中国の軍拡などで「脅威論」も高まる中、私たちに求められる「軍事のリテラシー」は何か。映画を通じて考えた。

 映画の舞台は20XX年。架空の新興国「東亜連邦」が沖ノ鳥島の西方にある島に武力侵攻する。出動した護衛艦隊を東亜連邦側はミサイルで攻撃。政府は戦後初の「防衛出動」を命じ、自衛隊は武力による反撃を開始する――。

 原作は漫画家かわぐちかいじさん(70)が2014年から「ビッグコミック」で連載中の漫画作品。「いぶき」は空母から離着陸できる戦闘機F35Bを搭載する新型護衛艦だが、現実でも18年末、護衛艦を改修してF35Bを運用する方針が決まった。

 作品づくりには軍事ジャーナリストの故・惠谷(えや)治さんが協力。かわぐちさんと惠谷さんは「日本の広大な領海や島々を守るには、自衛隊は空母を持つ方が現実的かも知れない」という認識を共有していた。「実際に尖閣諸島への武力侵攻が起きた際、日本はこう対応する可能性が高いというモデルケースを提示したかった」(かわぐちさん)

 劇中では、専守防衛の戦闘を貫き、国家間の全面戦争に拡大させないためのギリギリのせめぎ合いが描かれる。自衛隊は相手の死傷者を最小限にするため、ミサイル攻撃を行わずに危険を冒して接近し、直接射撃で相手艦の攻撃力を奪う。

 『平和のための戦争論』など…

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