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 赤ちゃんには元気に生まれて欲しい。これはどなたにも共通の願いだと思います。

 でも、実は生まれてくる赤ちゃんの20人に1人は何らかの病気を持って生まれてくると言われています。もちろん、ほとんどは軽いもので命に関わるようなものではないのですが、中には重い病気を持って生まれてくる赤ちゃんもいます。

 こうした病気の中には妊娠中に見つかるものもあれば、生まれてきてから初めてわかるものもあります。原因は様々ですが、そうした異常のうち4分の1が染色体の数や形が変化する染色体異常によるものと言われています。

 「出生前検査」という言葉、お聞きになったことはありますか?

 出生前検査は赤ちゃんがおなかの中にいる間に、生まれつきの病気があるかどうかを調べる検査です。この検査の一番の目的は、お母さんに、これから生まれてくる赤ちゃんの体についての不安を少しでも減らしてもらうことです。

リスクや正確性が異なる2種類

 出生前検査には大きく分けて2種類あります。この検査だけでは結果がはっきりとは決められない「非確定的検査」と、この検査によって結果がはっきりと決まる「確定的検査」です。

 非確定的検査には、超音波検査、血液を調べる母体血清マーカー検査、それらを組み合わせたコンバインド検査、そして最近新型出生前診断として話題となっているNIPT(無侵襲的出生前遺伝学的検査)があります。

 一方、確定的検査には、お母さんの腟(ちつ)の方から子宮頸管(けいかん)に針を通す、もしくはおなかに針を刺して胎盤の一部である絨毛(じゅうもう)を採取する絨毛検査と、おなかに針を刺して羊水を採取する羊水検査などがあります。

 それぞれの検査は検査の時期や正確性、対象とする病気や検査に伴うリスクが異なりますので、主治医の先生から説明を聞いた上で、パートナーともよく相談して検査を受けるかどうか考えてもらいたいと思います。

「NIPT」は血液検査で

 それでは最近話題となっているNIPTについてお話しします。

 NIPTは2013年から始まった採血で行う出生前検査です。お母さんの血液検査を行うだけで、赤ちゃんの染色体異常のうち最も多いとされるダウン症候群を含めた三つの染色体異常の可能性を調べることができます。

 ダウン症の場合、障害の程度は人それぞれですが、成長障害や心臓の病気、ダウン症に特徴的な顔貌(がんぼう)などが見られます。また、18トリソミーの場合は9割のお子さんが心臓に病気を持っているほか、呼吸障害、成長障害があり、13トリソミーでもやはり8割のお子さんが心臓に病気を持っているほか、成長障害や呼吸障害が特徴的です。

 18トリソミーや13トリソミーの場合は運動面や知的な面で強い遅れも出てきます。この検査は早い妊娠週数(妊娠10週ごろ)から検査ができ、血液検査のみですので流産や破水、死産のリスクが少ないという特徴があります。

 この検査について日本産科婦人科学会では、①超音波検査や母体血清マーカー検査で赤ちゃんに染色体異常の可能性があると言われた、②以前に染色体異常の子どもを産んだことがある、③35歳以上――などの妊婦さんに限り、希望があった場合に十分なカウンセリングを受けてもらった上で検査を行うことを推奨しています。

 この検査で大事なことは、確定的検査ではないということです。陽性という結果が出たからといって100%正しい結果とは限らないのです。ですから、万一結果が陽性になった場合には、絨毛検査や羊水染色体検査などで診断を確定することが必要です。

パートナーと十分に納得して選択を

 ところが最近、NIPTの結果が陽性になっただけで確定的検査を受けることなく人工流産を選ぶ人がいることが社会的に問題となっています。一方、陰性であっても異常のない妊娠を保証するものではありません。NIPTはあくまでも数ある赤ちゃんの生まれつきの病気の中で3種類の染色体異常の可能性のみを示すものだからです。

 現在、残念ながら青森県内にはNIPT検査を受けることができる病院はありません。当院ではNIPTが実施できるように準備を進めているところですが、この検査の前後にはきちんと資格を持った遺伝専門医やカウンセラーによる十分な遺伝カウンセリングを受けてもらう必要があります。

 具体的には、この検査で何がわかるのか、どこまで正確にわかるのか、お母さんと赤ちゃんに対する危険性はどの程度なのか、また検査結果が判明した後の対応などについて丁寧に説明します。そして、お母さんが自らの意思で判断し、問題を解決していけるように支援します。遺伝カウンセリングはできるだけパートナーと一緒に受け、最終的に二人が十分に納得した上で選択することが大切です。

<アピタル:弘前大企画・男性も必読! 産婦人科医が語る女性の一生>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/(弘前大学大学院医学研究科産科婦人科学講座助教 伊東麻美)