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 高校野球の春季北信越地区大会は4日、富山市民球場で決勝があり、星稜(石川1位)が3―1で敦賀気比(福井2位)を下し、大会4連覇を果たした。

 やり返す。星稜の奥川恭伸(3年)が願っていた場面は、1点を追う六回にやってきた。2死三塁、左打席には敦賀気比の4番、木下元秀(3年)。四回に先行を許す適時三塁打を浴びた。

 2球の直球で追い込む。148キロ。146キロ。抜群の球威を見せ、「いい力み方ができた」。選んだのは3球勝負。直球で空振り三振に仕留め、ほえた。

 3球とも空振りした木下は「流れを変えさせない力を感じた。あれが本物のエースの投球」。星稜の指揮を執る山下智将部長は、こう感じていた。「ピンチを0点で抑えて、すごくベンチの雰囲気が明るくなった」。直後の七回、奥川の安打をきっかけに3点を奪って逆転した。

 150キロを超える直球と高校生離れした変化球を操る奥川。いま、求めているのは「総合力」だ。相手に大きなダメージを与え、味方を波に乗せる。あの3球で主導権を奪い返した。

 見せ場はもう一度、やってきた。2点リードの八回2死一、二塁で木下。奥川は「倍にして返してやる」とギアを上げた。150キロを2度記録し、7球目のスライダーで空振り三振に。さっそうとベンチに戻る右腕と対照的に、木下は打席で立ち尽くした。

 九回は三者三振。計11奪三振で、1失点完投。投手としての完成度の高さを示し、チームを昨春から3季連続となる北信越制覇に導いた。

 試合後、木下と笑顔で握手を交わし、たたえた。「最初に抜けたフォークを打たれたので、勝った気はしていない」。反省点を棚に上げないのも、魅力の一つだ。

 選抜大会後に感じた右肩の張りも、すっかり消えた。まもなく最後の夏がやってくる。「うれしい気持ちは今日まで。夏までにもっともっとレベルアップしたい」。この程度の完成度では満足しない。(小俣勇貴

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