[PR]

 証券会社や信託銀行などが「日本金融ジェロントロジー(老年学)協会」を発足させ、初会合を4日開いた。協会学術顧問の駒村康平・慶応大教授は講演で、「人口の高齢化よりも金融資産の高齢化の方が極端に進む」と述べ、金融機関は高齢者をよく理解したうえでサービスや商品を提供すべきだと訴えた。

 人口に占める65歳以上の高齢者比率は3割弱だが、駒村氏は「個人の金融資産約1900兆円の7割近くを高齢者が保有している」と指摘。今後の高齢化に加え、75歳以上の人たちは金融資産の取り崩しが少ないことも、「資産の高齢化」を加速させるという。

 金融機関の対応については「丁寧に分かりやすく(説明する)という従来の対応を超え、高齢者の心理的部分を理解したサービスや商品開発が必要ではないか」と述べ、高齢層向けの商品開発の必要性などを説いた。

 「(2030年ごろには)200兆円近いお金が認知症の方に保有されるだろう」とも説明。認知症でなくても、加齢とともに認知機能が低下したり、意思決定の傾向が変わったりするという。また、高齢者の間には、手数料の高い商品などを金融機関に売りつけられることへの警戒感が根強い。駒村氏は「高齢顧客の利益を最重視する倫理観が高く求められる」とも訴えた。

 協会は、長寿社会における高齢者への金融サービスのあり方や必要な制度を考えようと、三菱UFJ信託銀行や野村ホールディングス、慶応大が中心となり4月に設立した。証券会社や保険会社、メガバンクなど計14社が会員。会員の社員向けに高齢者対応の研修をするほか、高齢者の行動などに精通した専門家の認定制度を3年後をめどに設けることをめざす。(鈴木友里子