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 多くの人が純粋に汗を流し、楽しめる、スポーツ。現在、映画やドラマなどで活躍する浜松市出身の俳優・筧利夫さん(56)もバスケットボールやサッカーなど多彩なスポーツ経験を持つ「スポーツ人間」だったといいます。ちょっぴり後悔も残る青春時代を振り返ってもらいながら、球児たちにエールを送ってもらいました。

 小学生の頃はサッカーをやっていましたが中学ではバスケに転向。サッカーでは自分より前からやっている子たちにかなわないって思ったんです。でも、ここでも、一歳下にものすごい生きのいい連中がいた。180センチを超える子が2人もいて……。同じような練習をやって、僕らの代は1回戦負けなのに彼らは準優勝まで行っていました。

 高校のバスケ部では毎日5時間くらい練習。2年生からベンチ入りしましたが、結局中学の時の1コ下の連中が同じ高校に来て、すぐレギュラーになっていました。悔しいけど、なんか違うものを持っているんだなと思っていました。

 「キャプテン」(2007年、トルネードフィルム)という映画で中学野球の引退をかけた大会で勝ち進んでいく主人公の主将の父親役をやったことがあります。息子がキャプテンとしての実力不足を感じ、帰宅後に父親たちのスパルタ特訓で実力をつけ、チームを引っ張っていった。本当に勝ち上がっていこうと思ったら、部活の時間内だけじゃやっぱりダメなんだなって僕も思いました。

 東京で入った劇団の中で感じました。はじめは稽古の時間内しか練習していなかったけれど、次の日までにシーンをつくらないといけない状況がある。稽古が夜9時に終わったら、深夜0時過ぎても外で稽古。それでも間に合わないと、先輩に夜中に電話かけてどういう風にやったら面白くなるかと聞く毎日でした。このぐらいの気持ちでバスケットをやればよかった。

 日本のプロ野球から韓国のプロに行く「ドッジGO!GO!」(02年、アミューズピクチャーズ)という映画では、ホームランを打つためバットを振る練習をかなりしました。毎日、何時間も素振りしていたし、バッティングセンターにも数カ月間、通い詰めた。

 格好良くシャープに振りたかった。最初は全く飛ばない状況でした。ですが、形よく、シャープに振れているかはやっぱり練習次第のところがあり、それは結果に出るんです。

 見せ方を意識するのは大学卒業後に始めた日本拳法の師範に学んだことです。「役者なんだから格好良く戦いなさい」と。自分だけじゃなくて、周りの目に気が向くことが拳法の試合でも良いという考え方があるんだと思った。

 野球も多くの場合、球場で人が見ている状況でやる。応援の雰囲気が投手側に加勢しているか、打者側か。周囲を意識し、自分がどんな風に見られているかつかんで味方に付けるというのは大事な要素のような気がします。

 演劇もほとんどスポーツ。体力も使うし、チームプレーで穴は作れない。セリフというドリブルをし、パスをする。「お前のところで客が飽きたんだよ」と言われないように、厳しい戦いがある。

 チーム戦はチームの勝利がすべて。レギュラーは勝ち取らなければいけない。ですが、その中での振る舞い方はいろいろある。個人の記録が悪くても、そいつのかける声で雰囲気がよくなるんだったら、点は他のやつがとればいい。

 フォア・ザ・チームに生きると自分できちんと決めてやれば、良いふうに転がる。映画でもスポーツでもチームプレーは自分の外に目を向け、自分を見直すことのできる貴重な経験なんだと思います。

 サッカーでは続けた期間で差が出る、バスケはもともと才能が違う連中がいるんだと感じていた。けれど、若くてエネルギーにあふれていたんだから、どんなやり方だって本当はあったよなと、今、思います。全力投球から逃げていたのかなと。

 球児のみなさんはもちろん全力でやっていると思います。でも工夫と意識次第でもっと出来ることもある。特に3年生にとっては最後の夏。自分の役割を見極め、そこに向かって後悔のないようにやってほしいと思います。(宮川純一)

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 〈かけい・としお〉 1962年8月生まれ。浜松市中区出身。市立丸塚中学、浜松東高時代はバスケに打ち込む。大学卒業後の1985年、劇団第三舞台に所属し、92年、映画「寝盗られ宗介」で第7回高崎映画祭最優秀新人賞を受賞。「踊る大捜査線」シリーズでは警察のキャリア官僚を好演し独特の雰囲気を持った俳優として人気をはくす。映画や舞台のほかテレビ番組などでも幅広く活躍。バラエティー番組のMCなども務める。