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 「MMTは、何の問題もなくお金をくれるようなもの。とても、とても危険だ」――欧州の金融政策を取り仕切る欧州中央銀行(ECB)で総裁を務めたジャンクロード・トリシェ氏が朝日新聞のインタビューに応じ、最近議論が活発な「MMT(Modern Monetary Theory=現代金融理論、現代貨幣理論)」への強い懸念を示した。世界の中央銀行の金融緩和で、世界経済は堅調さが続くが、格差は拡大し、先行きへの不安は消えない。そうした中、政府がさらに債務を増やしても問題はなく、財政出動で経済を刺激すべきだという異端の経済理論「MMT」が世界を席巻している。2003~11年にECB総裁を務め、リーマン・ショックにも対応したトリシェ氏は何を語るのか。

      ◇

 ――世界経済の現状をどう見ていますか?

 「世界経済は減速している。まだ十分な成長はあるが、無視できないリスクへの注意が必要だ。世界の国内総生産(GDP)に対する債務残高は08年の金融危機以降、増え続けている。危機前も同じように増えた。米国、日本、イタリアやフランスなど、多くの先進国の公的部門でその傾向は見られる」

 「(企業や家計などの)民間部門の債務も増えている。とくにGDPに対する民間債務の増加は中国を含む新興国で見られる。次の金融危機の引き金は、08年の金融危機時のような先進国ではなく、新興国から起きうると思っている。世界レベルで(信用力の低い企業などへの融資も含まれる)レバレッジド・ローンにリスクがある」

 ――世界の債務増加は先進国の金融緩和の影響によるものですか?

 「全く影響がないと言うのは難しい。しかし、(中央銀行が金融緩和によって)低インフレや(物価が下がり続ける)デフレに陥るリスクと戦うというポジティブな面は、マイナス面よりかなり大きい」

 「債務が増えている背景には、各国における非常にまずい予算の管理、金融市場で(国債や社債などの)債務の取引が好まれていることなど、複合的な要因によるものだと思う」

 「G20(主要20カ国・地域)の会議では、これまで銀行部門の健全性を高める政策などが行われてきた。しかし、ヘッジファンドなど非銀行部門にはリスクが存在する。G20はそれをかなり注意して見続けることが重要だ。過去にも市場の機能が急に止まったり、市場で流動性がなくなったりしたことはあったが、将来も起きうる」

 ――日本でも、日本銀行の金融緩和で超低金利が続く中、米国発のMMTが注目されています。MMTをどう見られますか?

 「とても、とても危険に見える。MMTの考えは非常に大胆さがあり、大衆受けもよい。何者かが何の問題もなく、お金をくれるようなものだからだ。とてもおいしいお酒を口にするようなものだ」

 「MMTは、(自国建ての通貨…

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