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 名証2部上場の工具メーカー「富士精工」(愛知県豊田市)の設計データが持ち出された事件で、不正競争防止法違反の罪に問われた同社元社員で中国籍の申永輝被告(31)に対し、名古屋地裁は6日、懲役1年2カ月、罰金30万円(求刑懲役2年、罰金50万円)を言い渡した。

 山田耕司裁判官は「転職に有利と、私利私欲で経営の根幹にかかわるデータを不正に領得(りょうとく)。刑事責任は相当に重い」と述べた。「日本の技術が国際競争にさらされ、違法な海外流出を防ぐ意味でデータ保護の必要性は高い。アジア諸国の技術的台頭を背景に法改正された経緯に鑑みると、実刑はやむをえない」と話した。

 判決によると、申被告は1月29日、不正な利益を得る目的で営業秘密を閲覧。サーバーコンピューターにアクセスし、同社が管理する自社の設計データ164件をUSBメモリーにコピーした。

 また判決は、転職を考えた申被告が中国の求人サイトに登録して、資料を多数所持するとアピールし、上海の企業の内定も得ていたと指摘。昨年10月以降、会社の営業秘密を大量にダウンロードしており、「自宅での勉強目的」とする被告の弁解は信用できないとした。

 公判で弁護側は「ほかの人にデータを渡しておらず、経済的利益を得ていない」として情状酌量を求め、被告も「USBメモリーは自宅で息子に壊された」と主張したが、「供述は不自然で信用できず、データ流出の可能性は否定できない」とした。

 申被告は2014年に入社。技術系社員として工具の設計を担当し、設計情報にアクセスできる権限を与えられていた。会社側が1月末、申被告が設計情報をコピーした記録に気づいて、県警に相談。4月に懲戒解雇にしていた。