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 2017年7月の九州北部豪雨で一部区間が不通となり、バスによる代行輸送が続くJR日田彦山線。代行バスはどんな人たちが、どのような思いで利用しているのか。ある平日に1日かけて記者がバスに乗ってみた。

バスで朝ごはん

 まだほの暗い午前6時過ぎ、宝珠山川沿いの坂道を上ってきた西日本鉄道のバスが、福岡県東峰村のバス停「筑前岩屋駅」に止まった。JRの委託で走る代行バスで、大分県日田市に向かう始発便だ。

 右足に包帯を巻き、松葉づえをついた男性が近づいてくる。近くに住む伊藤和弘さん(41)。約1カ月半前、村内の災害復旧工事の作業中にけがをし、日田市の病院に通っているのだという。

 行きは良いが、問題は帰り。日田から筑前岩屋駅まで戻るバスは午後2時までないため、添田行きの代行バスを一つ手前の大行司で降り、タクシーに乗らなければならないという。

 日田市には以前からよく足を運び、夜に飲食することが多い。「前はJRで帰って来られたけど、今はタクシーが要る」とぼやいた。最終列車が日田駅を出るのは午後8時43分だったが、バスは午後7時32分発が最後だ。

 「鉄道は復旧してほしい。でも、(沿線自治体の)負担がかかる。難しいですね」

 バスは午前6時25分に出発。次の停留所「大行司」で制服姿の生徒が7人、その次の「宝珠山」で5人乗り込んだ。スマホをいじったり、教科書を開いたり。ラップにくるんだおにぎりを頰張る女子生徒も。

写真・図版

 道沿いで復旧工事が続くなか、何度も片側通行の信号待ちがあった。「日田駅」に到着したのは午前7時9分。学校が始まるまで1時間ほどあるが、大行司から通う日田高校3年の室井蒼太さん(18)は「課題とかしてます」。

 2年前の豪雨の夜は避難所で過ごした。高校に入学して3カ月余り。「鉄道で通ったのはちょっとの間だから、どうだったか忘れました」と苦笑した。

戸惑う観光客

 日田駅を午前9時47分に出発する添田駅行きバスは、観光バス会社のマイクロバスだ。道の途中、土砂崩れの傷痕が残る。緑に覆われた山林は時折、ぺろりと皮をはいだように茶色い斜面が見える。

 添田駅に着いて間もなく、小倉…

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