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 タイ国会は5日夜(日本時間6日未明)、民政移管に向けた首相指名選挙で、2014年5月のクーデターを主導した軍事政権のプラユット暫定首相(65)を首相に選出した。組閣を経て新政権が発足すれば、形の上では5年ぶりの民政復帰となるが、軍が引き続き政治への強い影響力を維持することになる。

 上下両院の議員が参加した首相指名選挙は、親軍政派の国民国家の力党が擁立したプラユット氏と、反軍政派が推した新未来党のタナトーン党首の2人の争いとなり、プラユット氏が500票を得て首相に選ばれた。タナトーン氏は244票だった。

 3月下旬の下院(定数500)の総選挙後、親軍政派と反軍政派が多数派工作を展開し、親軍政派が下院の過半数を確保。首相指名選挙には軍政が事実上任命した上院議員250人も加わるため、親軍政派に圧倒的に有利な状況だった。

 国民国家の力党はプラユット氏の選出後、「プラユット氏を信頼してくれたすべての議員に感謝する。連立政権樹立に向けて前進する」との声明を出した。

 新政権は今月中にも発足するとみられている。

下院、ぎりぎり過半数

 「続投」が決まったプラユット氏だが、親軍政派中心の連立は下院の半数をわずかに上回るだけで、政権運営は容易ではないとの見方が出ている。

 「クーデターを起こしたプラユット氏が再び首相になれば、この国はもっと悪くなる」「プラユット氏ほど決断力のあるリーダーはいない」。5日、昼前から始まった上下院の合同会議では、投票前の議員らの演説で反軍政派と親軍政派が激しくぶつかった。

 プラユット氏の首相選出を受けて、組閣を経て今月中に新政権が発足するとみられ、その時点で民政に移行する。

 タクシン元首相派政権への反対運動が続くなか、陸軍司令官だったプラユット氏がクーデターを決行したのは2014年5月。軍政は混乱の収拾と国民和解を掲げたが、実際に力を注いできたのは、農村や都市の貧困層などを支持基盤とするタクシン派の復権阻止だった。

 01年以降の総選挙で勝ち続けてきたタクシン派政党の大勝を阻むため、大政党に不利な選挙制度を下院に導入。上院を軍政による事実上の任命とし、首相指名選挙に加われるようにして親軍政派に圧倒的に有利な状況をつくった。さらに自らの肝いりで親軍政政党・国民国家の力党を立ち上げ、「民政移管」後も影響力を行使できる態勢にした。

 それでも、3月の総選挙ではタクシン派のタイ貢献党が第1党になり、同じく反軍政派の新党・新未来党が第3党に躍進。親軍政の国民国家の力党は第2党になったものの、下院の過半数確保のために激しい多数派工作をせざるを得なくなった。下院で過半数がなければ、法案審議などで政権運営がすぐに行き詰まりかねないためだ。

 カギを握る第4党の民主党とは、連立に参加した場合のポスト配分などをめぐる交渉が長引き、決まったのは首相指名選挙を目前にした4日夜だった。

 親軍政派はこれで下院の過半数…

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