【動画】維新の永藤英機氏が初当選した堺市長選を解説
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 不透明な政治資金問題で前市長が辞職したことに伴う堺市長選が9日、投開票される。大阪維新の会と「反維新」勢力による事実上の一騎打ちの構図。古墳群の世界遺産登録が勧告されたばかりの政令指定市の首長ポストの行方は、維新が掲げる大阪都構想の進め方にも影響を及ぼしそうだ。

 市長選に立候補しているのは、無所属で元自民党堺市議の野村友昭氏(45)、維新公認で元府議の永藤英機氏(42)、政治団体「NHKから国民を守る党」代表で元東京都葛飾区議の立花孝志氏(51)の新顔3人。

 最大の焦点とされるのは、大阪府知事と大阪市長のポストを持つ維新が、初めて大阪の「3トップ」を押さえるかどうか。選挙戦では、都構想の是非や「政治とカネ」が主な争点になっている。4月の府知事・大阪市長のダブル選で大勝した維新の勢いが続くかどうかなど、夏の参院選に向けて各党の勢力を占う試金石にもなりそうだ。

 都構想の反対を掲げる野村氏は、「堺を守る」と維新を批判。自民党のほか、立憲民主党や共産党などの国会議員や地元市議らが「反維新」で足並みをそろえ、独自支援している。

 反都構想を打ち出すのは過去の「勝ちパターン」があるからだ。

 堺市長選は過去2回も、維新と反維新勢力の事実上の一騎打ちだった。都構想は大阪市を廃止して東京23区のような特別区に再編する制度改革だが、維新は将来的に堺市まで範囲を広げる構想を持っている。前市長の竹山修身氏はここに着目し、反都構想を掲げて維新候補に連勝。そのため、堺は反維新の「牙城(がじょう)」とされてきた。

 野村氏はこうした経緯を踏まえ、反都構想をテコにして反維新勢力の結集を狙う戦略だ。

 一方、永藤氏は選挙戦で、竹山氏の政治資金問題を引き続き追及する考えを繰り返して訴えてきた。竹山氏の辞職を「当然」と言いつつ今後の具体的な追及や調査に触れない野村氏の姿勢との違いを強調。前回市長選で竹山氏を推薦した自民に所属していた野村氏の対応を批判している。

 竹山氏は、政治資金収支報告書で収支合わせて2億円超の記載漏れが発覚。維新が「政治とカネ」で攻勢をかけるのは、反維新勢力が竹山氏の選挙戦を支え、市議会で維新が提出した不信任決議案に自民や共産などが賛成しなかった経緯を浮き彫りにする狙いからだ。

 ただ都構想については、永藤氏は「(堺で議論するのは)時期尚早」とするにとどめ、選挙戦で都構想への言及は少なかった。

 立花氏は選挙を通して、「(都構想は)住民投票で住民に決めてもらう」「インターネットを活用して選挙で金は使わない」などと訴えてきた。

 そもそも維新、反維新の両陣営にとって堺市長選は、10年にわたる「因縁の対決」だ。

 2009年市長選で、当時府知事だった橋下徹氏が新顔の竹山氏を支援し、与野党相乗りの現職に勝利。橋下氏の選挙の強さを示し、維新設立につながった。だがその後、竹山氏は橋下氏から離反。反維新勢力の支援を受けて13年市長選で維新を破り、橋下氏の「不敗神話」を崩した。

 折しも百舌鳥(もず)・古市古墳群の世界文化遺産への登録が勧告され、堺への注目が高まっているタイミング。堺市内には最も規模の大きい大山古墳(伝仁徳天皇陵)をはじめ、百舌鳥古墳群の23基がある。因縁の対決を演じてきた橋下氏や竹山氏が政界から去る中、有権者は「歴史の街」のかじ取りを誰に任せるのか。結果は、9日深夜にも判明する見通しだ。(池尻和生)