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 「夫が育児休業明け2日で(関東から)関西への転勤を命じられた」。ツイッター上のそんな書き込みがネット上で大きな議論を呼んでいる。転勤命令をきっかけに夫が退職したことなどから勤務先の会社に批判が集中。会社が6日、見解を出す事態となった。

 投稿したのは、首都圏に住む化学メーカー大手カネカ(大阪市)の元社員(38)の妻(会社員、40代)だ。朝日新聞の取材に応じた夫婦によると、2人目の子どもが生まれたのをきっかけに、夫は3月末から4週間の育児休業を取った。

 育休から復帰して2日目の4月23日、5月16日付で関西に異動するよう命じられた。「家族に相談させてほしい」と上司に頼んだが、「無理だ、もう決まったことだ」と言われたという。

 夫は労働局に相談したほか、社内の人事担当部署や労働組合も交えて「異動に異論はないが、1~2カ月の猶予期間がほしい」などと時期の変更を求めたが、会社は応じず、夫は5月7日に退職願を提出。その後、上司に引き継ぎ期間や有給休暇の消化を含めて6月中旬ごろに退職したいと伝えたが、認められず、5月31日に退職した。

 妻は6月1日、ツイッターに「2歳と0歳は4月に転園入園できたばかり、新居に引っ越して10日後のこと。いろいろかけ合い、有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。産後4か月で家族4人を支えます」などと投稿すると、4万以上のリツイートがあった。「卑劣な嫌がらせだ」「こういったことが少子化につながっている」などと会社への批判も相次いだ。

 カネカは6日、ホームページ上で、弁護士を含む調査委員会を立ち上げて事実関係を調査した結果、「当社の対応は適切だった」との見解を発表した。「育休前に異動が必要と判断していたが、内示する前に育休に入られたために育休明け直後に内示することとなった」と説明。退職日を5月31日とする退職願が提出されており、退職の強制や退職日を指定した事実は「一切ない」とした。取材に対し同社は、有休を取らせなかった事実もないとしている。

 労働問題に詳しい旬報法律事務所の深井剛志弁護士(35)は、有休の消化が認められなかったという点について「事実なら労働基準法に違反する」と指摘する。育休明け直後の異動の内示についても「育休を取得した労働者に不利益な取り扱いをしてはならないとする育児・介護休業法に抵触する可能性がある」とした。

 厚生労働省によると、昨年度の男性の育休取得率は6・16%と、2020年までに13%にするという政府目標を下回る。妻は反響の大きさについて「私たちの問題は氷山の一角。育休などの制度があっても現場での運用が追いついていないという点が表面化し、共感が広がったのではないか」と話す。(吉田貴司)

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