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 私たちは、いろいろな思いを抱えながら生きています。たとえば友達の愚痴に「私の方が大変なのに」とイライラしたり、ニュースで聞いた政治家の言葉がちくりと胸に刺さったり。こうした引っかかりは、わざわざ口にすることはないけれど、心のどこかに残り続けます。

 朝日新聞オピニオン編集部が始める連載「論の芽」は、なんだか気になることをもう一歩深く考え、他の人にも説明できる「論」に育ててみようという試みです。個人的な思いも、煮詰めてみれば、その人が置かれた境遇や、それをもたらした社会の状況とどこかでつながっているはずです。記者のモヤモヤする思いを出発点に論を紡ぎ、同じような論を持つ人や、全く違う論を持つ人にも取材して紹介していきます。

 ずいぶん前から、日本でも海外でも「社会が分断されている」と言われるようになりました。格差の広がりもありますが、そんな現実を論じる言葉が、さらに分断を固定してしまっているのではないでしょうか。

 何かを考える時、多くの人は「どちらかというと○だが、×という人の気持ちもわかる」という風に揺れています。だけど、その考えがメディアやSNS上で発信されると、「○の人」と「×の人」に分断され、両者の間には埋めがたい溝を感じます。その両極端な意見の対立と、日常との間に接点を見いだせずに、多くの人は口ごもってしまいます。

 ○と×の間の広い平原に、個人的な引っかかりから生まれた論を、少しずつ芽吹かせていく。このコーナーをきっかけに、言論の風景が少しでも豊かになることを願っています。

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