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 日本の男子短距離界に、また新たな歴史の一ページが加わった。7日に米テキサス州オースティンで行われた全米大学選手権の男子100メートル決勝で、サニブラウン・ハキーム=米フロリダ大=が日本新記録となる9秒97(追い風0・8メートル)をマーク。200メートル決勝でも、日本歴代2位となる20秒08(追い風0・8メートル)を出し、自己記録を0秒05更新した。来年の東京五輪に向けて、選手層の厚みが増している。

 観衆が総立ちとなり、固唾(かたず)をのんで見つめたスタートライン。サニブラウンはいつものように、ゆったりと間を取ってから両手をトラックにつけた。この時点で、スタートで出遅れた2日前の準決勝よりは、多少の手応えがあった。

 「準決勝は暑さにやられて、ふくらはぎがつりそうだった。今日はしっかり水分補給をして、体のケアをしていたので問題ない」。400メートルリレーで2走を務め、優勝に貢献してから約50分後のレース。体の状態を優先させることに努めて集中していた。

 9秒86で優勝したオドゥドゥル(テキサス工科大、ナイジェリア)の飛び出しには少し遅れ、前を追う展開となっても「焦りはなかった」。残り約30メートルで、ストライドが大きくなりすぎたのが唯一の反省点という。「まとめていけていれば、もっといいタイムが出た」。しかし、大きなストライドは長所でもある。100メートルをオドゥドゥルと同じ43・5歩で駆け抜け、単純計算した平均ストライドはほぼ230センチに達した。

 次の試合は、今月末に福岡である日本選手権だ。桐生らも出場する男子100メートルは最も注目を集める種目だが、本人は「普通に優勝して、こっちに帰ってきたい。優勝しなきゃ、世界に通用しないと思っているので」と淡々。米国では気温が30度を超える中、1時間おきに3レースをこなし、タフさを身につけた。100メートルと200メートルの決勝が別の日で休息がとれる日本選手権では、さらに記録を縮める可能性は十分ある。(井上翔太)