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 国際労働機関(ILO、本部・ジュネーブ)の年次総会で、働く場での暴力やハラスメント(嫌がらせ)をなくす条約づくりの議論が始まった。21日までの会期中の採択をめざしているが、使用者が問われる責任の範囲などをめぐり、各国の意見に隔たりもある。

 「暴力やハラスメントをなくすための新たな国際基準を導入することで、この総会が悪習に打撃を与える歴史的な一歩となる」。ILOのライダー事務局長は創設100周年を迎えた今年の総会冒頭の10日、意義を強調した。11日にはドイツのメルケル首相が登壇し、「適切な労働環境にない人々がいまだ多くいる。政府が労使と議論できるILOでの結束が求められている」。続いてフランスのマクロン大統領も「働く人を守るため、共通した法整備が必要だ」と述べた。

 条約化の背景には、世界各地でセクハラを告発した「#MeToo(私も)」運動など、問題意識の国際的な高まりがある。ILOの原案は、暴力とハラスメントを「身体的、心理的、性的、経済的被害をうみ出しかねない振る舞いや慣行」と定義。従業員だけでなく、インターンやボランティアなども保護の対象になり得るとしている。

 特に、LGBTなど性的少数者がハラスメントを受けやすい立場にあると指摘。休憩や通勤中も対象になるとした。使用者側が責任を負う範囲を広く認め、各国で暴力やハラスメントを法律で禁じ、被害者保護や補償などの対策を取ることを義務づける。

 条約が採択されれば、加盟国は1年以内に議会などの批准機関に承認を求める義務がある。批准すれば、条約に沿った国内法の整備が必要となる。

 総会には各国政府のほか使用者…

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