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 夢の大舞台、甲子園出場をかけた夏が始まる。山梨大会には35校が挑み、熱い思いをぶつける。山梨県笛吹市出身のミュージシャン、藤巻亮太さん(39)は音楽と野球に共通するものを感じてきた。ふるさとへの思いとともに、球児たちにメッセージを送ってもらった。

 石和(現・笛吹)高校でブラスバンド部に入っていました。1年夏の山梨大会が印象に残っています。野球部のみんなが、白いユニホームをピシッと着てかっこよく、心から応援したいって思いました。汗だくでトロンボーンを吹いて、全校生徒が盛り上がる。なんともいえない高揚感で興奮したのを覚えています。

 ブラスバンド部は高校の1年間でやめてしまいました。当時の僕には、一つのことを続ける根気がなかった。だからこそ、3年間、野球をやり遂げる姿をまぶしく感じました。高校野球は1回負けたら終わりの世界。選手の思いが伝わってきますよね。3年生は後輩に思いを託し、後輩は先輩の思いを引き継ぐ。人の思いがつながっていく光景は胸を打たれます。

 2010年、母校の石和と山梨園芸が統合し、笛吹高校が誕生しました。その年、笛吹の生徒から「校歌を作ってほしい」と手紙をもらいました。後輩の思いに応えたくて、作詞作曲しました。

 歌詞には春夏秋冬の笛吹の景色が出てきます。四季を通して美しく、本当に大好きな場所です。そんな中で磨かれた感性とともに人生を歩んでほしいという願いを、「郷土に愛を育んで 夢彼方(かなた)へ羽ばたかせ」という歌詞に込めました。いつか甲子園で聴いてみたい。以前、両親から「(山梨大会で)笛吹が勝って校歌が歌われていたよ」と電話で聞いたとき、すごくうれしかったんです。

 音楽は、メロディーとそれを支える内声部、低音部、リズムを刻むパーカッションなど、すべてに役割があって一つになります。野球も同じ。試合に出られるのは9人で、「自分の役割ってなんだろう」と問う。試合に出られない人の分まで頑張ったり、声を出して応援したり。一緒に練習してきた仲間だからこそ支え合えるはずです。

 一つのことに打ち込み、味わった喜びや悔しさを通して、野球を好きになっていくのが素敵ですよね。僕は音楽に出会い、年々楽しくなっています。壁にぶつかることも多いですが、自分が成長できる大事なきっかけになります。

 打ち込めば打ち込むほど、仲間や恩師、家族など、支えてくれる人たちの存在に気づくことができる。野球で学んだことは、社会に出ても大切になってくると思います。大きな財産になるので、今は無心に打ち込んでほしいですね。(聞き手・玉木祥子)

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 ふじまき・りょうた 1980年、山梨県笛吹市生まれ。石和(現・笛吹)高校卒。2003年に同校出身の幼なじみ3人で結成したバンド「レミオロメン」としてデビュー。「3月9日」「粉雪」などのヒット曲を作詞作曲し、ボーカル・ギターを担当した。12年、バンド活動を休止し、ソロデビュー。11年には笛吹高校の校歌を、15年にはサッカーJ1ヴァンフォーレ甲府(現J2)のシンボル歌をそれぞれ作った。全国でツアー活動をおこなう。