【動画】富田川に沿うようにして歩く=白木琢歩撮影
[PR]

 奈良県境の果無山脈を源流とし、和歌山県白浜町に達して紀伊水道に流れ込む富田川。稲葉根王子(上富田町)の目の前を悠然と流れるこの川はかつて、巡礼の旅人が徒歩で川を渡って水垢離(みずごり)をしたという。中辺路はここからしばらく、富田川に沿うようにして熊野三山を目指す。

 鎌倉時代の初めごろ、後鳥羽上皇の熊野詣でに随行した歌人・藤原定家の「熊野御幸記」にも、川を渡った記録がある。たとえ上皇や女院でも、川は歩いて渡った。藤原宗忠が記した「中右記」によると、滝尻王子に着くまでおよそ十数キロの間に、なんと19回も川を渡ったそうだ。「水に入ること自体が、身を清めるための重要な儀式の一つでした」。「語り部の会 熊野古道中辺路」のベテランガイド、山中恭介さん(73)が教えてくれた。

 古道のそばに、輪切りにされた杉の丸太が置いてあった。中身はくりぬかれ、正面に小さな扉が取り付けられている。ニホンミツバチの蜜を採取するための巣箱で、「ゴーラ」と呼ばれる。同行している神島高校写真部の宮崎美奈さん(17)と宝槌(ほうづち)ちひろさん(17)は、カメラを片手に興味深げに眺めている。

 鮎川地区の住吉神社(田辺市)…

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら