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 小樽掖済(えきさい)会病院(北海道小樽市)の臨床検査技師の男性(当時34)が2015年12月に自殺したのは長時間労働によるうつ病が原因だとして、男性の遺族が病院側に約1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、札幌地裁小樽支部であった。梶川匡志裁判長は長時間労働が自殺につながったことを認めた。

 一方、小樽労働基準監督署が16年11月、男性の労災を認定し、遺族補償年金などを支給。さらに病院側は今年1月、裁判とは別に、損害賠償の名目で約1億円を遺族側に支払った。判決は、未払い賃金や慰謝料などで1億円の損害賠償を認めたが、すでに遺族側に支払われた支給額によって打ち消されるため、裁判での請求は棄却した。

 判決によると、男性は15年6月ごろから、病院の新築移転に伴って導入される電子カルテのシステムの構築などを任され、残業が常態化。うつ病を発症し、同年12月に病院の屋上から飛び降りて自殺した。

 判決は、自殺直前の1カ月間の時間外労働を約160時間と認定。病院側は男性の状況を把握していたにも関わらず対策をしなかったとして、安全配慮義務に違反があったと判断した。

 男性の妻は判決後、「病院が誠意ある態度を一度でも見せてくれていたら、私たち遺族が救われる部分も多少なりともあったかもしれません。この社会から長時間労働やその末の過労死、過労自死がなくなることを切に願います」とコメントした。

 病院を運営する日本海員掖済会は「改めて亡くなられた元職員のご冥福をお祈りする。判決がまだ届いておらずコメントは差し控えます」との談話を出した。(伊沢健司)