[PR]

 松本国際高校(長野県松本市)に今年度、女子硬式野球部ができた。県内初で、7月開幕の全国高校女子硬式野球選手権大会への出場を目指している。エースの小林美玲さん(16)には女子日本代表入りという夢もあり、「3年間しっかり練習して、かなえたい」。7月6日開幕の第101回全国高校野球選手権長野大会(県高校野球連盟、朝日新聞社主催)の開幕試合では、参加の依頼に応え、始球式を務める予定だ。

 「こんにちは!」。6月14日夕方、練習場所の信州スカイパーク(松本市)を訪れると、部員たちがウォーミングアップの手を止め、元気な声を響かせた。その中に、とりわけ小柄な小林さんの姿があった。

 身長は153センチ。スリークオーター気味の左腕から繰り出される球は、制球のよさが売りだ。野球少年だった3歳年上の兄の影響で、小1から地元・御代田町の少年野球チームで野球を始め、中学時代には軟式野球部に所属。2年生から公式戦のマウンドに立ったこともあり、「(男子が大半の中)女子でもできるんだと自信がつきました!」。

 小林さんには、追いかけてきた背中がある。「小学生の時、県内に野球がめっちゃうまい女子がいると聞いた。気になっていた人です」。3歳年上。注目の女子選手だった。

 一度だけ、言葉を交わしたことがある。少年野球チーム時代。たまたま練習で一緒になり、グラウンド脇のトイレで鉢合わせた。「野球やってるの?」。あこがれの人に突然、話しかけられた。「緊張で何を話したか、あまり覚えていないんです」

 「再会」は意外な場所だった。昨年夏、ニュースを見ていた父に呼ばれてテレビを見ると、女子野球日本代表に選ばれた長野市出身の坂原愛海(あみ)さんの姿。小学生のころから追いかけてきたその人だった。「こんなにすごい選手になったんだ」。その後、「美玲も日本代表、目指さないか」。父に言われ、目標が明確になったという。

 そんな野球女子たちの受け皿となったのが、新たにできた松本国際の女子硬式野球部。県内では青少年の野球人口が減少するなか、女子は増えているといい、県青少年野球協議会が同校に女子野球部の設立を要請した。

 現部員の5人は県内各地から集まった。ソフトボールから転身した部員もおり、監督の長田夏美先生は「まずは硬式に慣れるところから」。練習では大学生以上のチームに混ざるなどの工夫をしているという。部員だけでは野球に必要な9人に届かないため、全国大会へは連合チームでの出場を考えているという。

 始球式に向けては、「とても緊張するけど、男子にも負けないくらい力強い球を投げて、同世代の選手たちにエールを送りたい」と小林さん。「そして私自身の夢も、かなえていきたいです」(里見稔)