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(16日、ロッテ8―7中日)

 九回に5点差をつけられても、ロッテの鈴木はあきらめなかった。先頭で2打席連続本塁打となるソロで反撃ののろしを上げると、打線も打者一巡の猛攻で1点差に。2死満塁の場面で、この回2度目の打席が鈴木に回ってきた。

 フルカウントからの6球目。内角への150キロの直球を強振すると、バットが根元から折れた。「抜けてくれ!」。執念が乗り移ったかのように、打球は一、二塁間を破った。2者をかえす逆転のサヨナラ打だ。

 「苦しくても勝てばすべて報われる」。今季、鈴木はこう繰り返す。昨季は三塁を守ったが、今季はレアードの加入で定位置を奪われて開幕戦はベンチで迎えた。主力のけがや不振が相次いだ影響で、内野を全て守り、プロで初めて左翼にも入った。チームのために、俊足巧打が売りの選手会長は「便利屋」として使われることをいとわない。

 ホームの試合前は、全体練習より1時間以上早くグラウンドに出て特打を続けている。打席に入る前は一礼を欠かさない。真摯(しんし)な態度はファンからも慕われている。この日は2本塁打を含む3安打4打点の活躍で、満員の観客に応えた。

 今季、3度のサヨナラ勝ちを決めたのは、全て鈴木。「みんながつないでくれた気持ちに応えられた。この巡り合わせに感謝しないといけない」。プロ8年目の29歳は、勝負強さと謙虚さを併せ持つ。(室田賢)

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