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 レスリングの全日本選抜選手権は16日、9月の世界選手権(カザフスタン)の代表選考会を兼ねて東京・駒沢体育館で最終日があり、女子57キロ級は、五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)とリオデジャネイロ五輪63キロ級優勝の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)が決勝で対戦。川井が競り勝って、昨年末の全日本選手権を制した伊調と7月にプレーオフで再戦することになった。プレーオフの勝者が世界選手権代表となる。

 同50キロ級は、リオ五輪48キロ級優勝の登坂絵莉(東新住建)と昨年の世界選手権を制した須崎優衣(早大)が決勝で対戦し、須崎が快勝。男子グレコローマン60キロ級は、2017年世界王者の文田健一郎(ミキハウス)が、リオ五輪銀メダルの太田忍(ALSOK)を破って、世界選手権代表となった。

五輪金メダリスト、気迫の攻防

 残り30秒。伊調が川井梨を場外へ押し出す。2人は勢い余ってマット横の看板を倒した。五輪金メダリスト同士の気迫あふれる攻防にどよめきが起きた。

 組み手の川井梨、防御の伊調。2人の戦いは最高の技術が繰り広げられる「見本市」だ。しかし6度目の対決で両者が強調したのは「気持ち」。戦う者が持つ根源的な要素だった。

 川井梨は敗れた昨年末の全日本選手権決勝を振り返り、「攻める勇気が持てず、何もできずに6分が終わった。今回は後悔したくない気持ちが強かった」。

 序盤から攻めた。第2ピリオド開始40秒、伊調の右足首を取って1回転させ、5点をリード。その後、伊調の反撃にあったが6―4で川井梨が逃げ切った。

 今大会を制すれば世界選手権代表だった伊調は「こっちにアドバンテージがあった分、負けられない梨紗子の思いの方が勝っていた」と敗北を認めた。

 62キロ級の妹友香子との「姉妹で五輪」へ執念を燃やす川井梨は「もう一つ勝たないと意味はない」。世界選手権代表の座を巡る戦いは7月のプレーオフ(PO)へ。2人の実力を考えれば、世界選手権代表がメダルを獲得する可能性が高いため、POは事実上の五輪代表決定戦になる。

 リオ五輪後の休養から昨年復帰した伊調は「ギリギリの戦いを望んで戻ってきた」と闘志をたぎらせる。「(川井梨と)気持ちの面で今がイーブン。次が本当の勝負になる」(金子智彦)