交番襲撃、33歳男を箕面市内で逮捕 強盗殺人未遂容疑
大阪府警吹田署の千里山交番前で16日早朝、同署地域課の巡査が包丁で刺され、拳銃が奪われた事件で、府警捜査本部は17日、東京都品川区の職業不詳、飯森裕次郎容疑者(33)を強盗殺人未遂の疑いで逮捕し、発表した。現場の交番から北へ約8キロ離れた同府箕面市の山中で、身柄を確保した。拳銃を所持しており、実弾1発が発砲された形跡があったという。飯森容疑者は調べに「私のやったことではありません」と容疑を否認しているという。
吹田署捜査本部によると、飯森容疑者は16日午前5時35分ごろ、吹田市千里山霧が丘の吹田署千里山交番の駐車場で、当直勤務中だった古瀬(こせ)鈴之佑(すずのすけ)巡査(26)の胸を包丁(刃渡り約15センチ)で刺し、実弾5発入りの回転式拳銃を奪った疑いがある。古瀬巡査は7カ所を刺され、心臓に達する深さ約11センチの傷を負い、意識不明の重体という。
府警は防犯カメラの映像や目撃者への聞き込みなどから、飯森容疑者の足取りを追っていた。拳銃を奪った後、飯森容疑者は午前9時すぎに交番から北へ約4・5キロの「イオン北千里店」でえんじ色のジャンパーなどを現金で購入し、着替えたとみられる。捜査本部はその後、2時間ほどの間に北隣の箕面市内のコンビニ2店舗やホームセンターを次々に訪れ、虫よけ剤や携帯電話の充電器、電池を購入したとみている。
捜査本部によると、飯森容疑者を発見する決め手になったのは、16日午後8時すぎの箕面市内の防犯カメラの映像だったという。山の方向へ向かう姿が映っていた。
捜査本部には交番の防犯カメラに映った不審な男の画像を公開した後、「息子に似ている」という男性からの申告があり、府警は不審な男が飯森容疑者であると断定。17日午前4時すぎに強盗殺人未遂容疑で逮捕状を取って、飯森容疑者を全国に指名手配する一方、日の出を待って午前5時ごろから36人態勢で山中の捜索を始めた。同6時半すぎ、木が生い茂る幅2メートルの山道でベンチの上に横たわる男を発見。捜査員が名前を尋ねると、「いいもりゆうじろう」と答え、その場で逮捕したという。
ベンチの下にはレジ袋に入った拳銃があった。5発あるはずの実弾が4発しかなく、1発は発砲されたとみられる。
飯森容疑者とみられる男が10人ほどの捜査員に囲まれて山道を歩いて下っていく様子を目撃した近くの70代男性は「暴れる様子もなく、静かにうつむいていた。夜は雨戸の鍵を全部かけて寝ていた。何も起きなくてよかった」と胸をなで下ろした。近くで農業を営む田中秀典さん(72)は「土地勘がないと絶対に通らない道。近くで捕まったと聞いて恐怖を感じている」と話した。
捜査本部によると、16日午前8時ごろ、交番から北西へ約400メートル離れた吹田市千里山西5丁目の住宅街で、住民から「午前6時ごろに破裂音を耳にした」との通報があったといい、関連を調べる。けが人は確認されていないという。
飯森容疑者の逮捕を受け、石田高久・府警本部長は「大変不安を与え申し訳ない。捜査への協力に感謝する」とのコメントを出した。
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