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医の手帳・てんかん(1)

 人間の脳は神経細胞の電気的な信号のやりとりで活動しています。てんかんはこの大脳の電気的活動の暴走により、様々な症状を呈する病気です。症状は数十秒~数分程度の一過性であることが多く、これをてんかん発作といいます。てんかんはこうした発作を慢性的に繰り返す病気です。100人に約1人の頻度でこの病気をもつといわれており、決して珍しい病気ではなく、赤ちゃんからお年寄りまですべての年齢で発症することが知られています。

 てんかんというと、意識を失って全身を激しくけいれんさせる発作を思い浮かべる方が多いと思いますが、発作の症状は多彩です。頻度が高いものとして、意識を失って一点を見つめてボーッとする発作や、さらに口をもごもごさせるなど身体を無目的に動かす自動症を伴う発作があります。

 また、意識が保たれている発作もあり、代表的なものに腹部から胸部にかけてこみ上げてくるような奇妙な感覚がする発作があります。共通点としては、持続時間が数十秒から数分程度であること、個々の患者さんでは必ず同じパターンで繰り返すことがあります。

 症状は多彩で、診察する医師が直接発作を目撃することは通常ありません。このことが診断を非常に難しくさせています。

 診断には脳波検査が必須ですが、脳波の判読には専門的な技術が必要です。てんかんと診断され、治療されていた患者さんの約4人に1人は実はてんかんではなかったというデータもあります。

 確定診断は専門家が行うことが望ましく、診断に最も有力な手段として長時間ビデオ脳波モニタリング検査があります。しかし、日本では専門医は非常に少なく、またモニタリング検査ができる専門施設は限られています。限られた資源を有効に活用するためには、専門施設と地域の医療機関が密接に協力する必要があり、患者さんの理解と協力も欠かせません。(国立病院機構西新潟中央病院てんかん科(精神科) 長谷川直哉医長)