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医の手帳・てんかん(2)

 てんかん発作を起こすことで、転倒による外傷や入浴中の溺水(できすい)、運転中の交通事故など様々な危険を伴います。発作を長期間繰り返していると、記憶や注意力などの認知機能の低下や、イライラしたり落ち込んだりする精神症状が起きやすくなり、原因不明の突然死が起きる危険が高くなることも知られています。このため、速やかな診断の確定と治療が必要です。

 てんかんの治療は抗てんかん薬による薬物治療が主体です。抗てんかん薬の治療は単剤から始まり、発作の種類によって薬が変わります。この選択を間違えると発作が止まらないばかりか、かえって悪化することもあります。

 さらに重要なことは、抗てんかん薬の有効性や副作用は個人差が非常に大きいことです。最近認可された抗てんかん薬が急速に増え、様々な種類の薬が使用できるようになりました。このため、最も適した抗てんかん薬を選択できる可能性は以前より高くなっています。しかし、どの薬がその患者さんに合うのかは予想が難しいため、少しずつ用量を調節したり、種類を変えたりしながら探っていくような薬物療法が必要です。

 最初の抗てんかん薬が無効の場合、2剤目、3剤目と別の抗てんかん薬を試していきます。3剤目までの抗てんかん薬で発作が止まる確率は約70%といわれています。しかし3剤目で発作が止まらなかった場合、他の抗てんかん薬を試しても発作が止まる確率は非常に低くなるといわれています。

 このような難治てんかんの治療には、薬を組み合わせる合理的多剤併用療法や、外科治療、食事療法や免疫学的治療、迷走神経刺激療法など様々な手段があります。

 治療は長期間にわたることが多く、就学や就労、結婚や妊娠、自動車の運転など、患者さんによって治療の目標は変わってきます。自分にとって必要な治療とは何か、主治医と相談しながら治療にあたることが必要です。(おわり)

 「医の手帳」は8月まで休載し、9月に再開します。(国立病院機構西新潟中央病院てんかん科(精神科) 長谷川直哉医長)