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 認知症の当事者や家族を支える「認知症サポーター」の輪が岐阜県内で広がっている。養成講座を授業に取り入れる小中学校もあり、高齢化が進む地域住民は「子どもが地域の支え合いに加わってくれればありがたい」と期待する。

 岐阜市立藍川中学校では11日、1年生約100人が養成講座を受けた。

 市地域包括支援センター東部の職員らが講師になり、まずはテキストでアルツハイマー病などと認知症との関わりや、具体的な症状を学んだ。

 その後、寸劇があった。講師が演じたのは認知症になった祖父。「財布がない」と孫の生徒に語る。生徒の反応は様々だ。

 「お母さんが(財布を)盗んだはずないじゃん」  「どんな財布? 一緒に探してあげるよ」

 街で一人歩きをする認知症の人に会うという設定では、ある男子生徒がかがんで声をかけた。講師は「視線の高さを合わせて、ゆっくり話しかけてくれた。こういう対応ができるといいですね」とまとめた。

 受講した石田信道さん(13)は小学生のころ、家族が働くデイサービス施設で、利用者に何度も同じことを聞かれて不思議に思った経験がある。「さりげなくでも、援助していけるようになりたい」と話す。

 藍川中が養成講座を授業に取り入れたのは初めて。学校運営協議会の一員で、地元の岩自治会連合会の横山克徳会長(68)らが提案した。

 校区では住宅団地の高齢化が進み、65歳以上の住民の割合が34%を占め、市の平均(28%)を上回る。

 岩地区を含む4地区の自治会連合会は2016年から、一人歩きをする認知症の人を捜す訓練を始めた。一方、学校側も地元の芥見小学校で2月、初めて養成講座が開かれた。

 横山さんは「どこの家にお年寄りがいるのか、地域の子どもたちはよく知っている。昼間に大人が仕事で地域を離れても、中学生らが一人歩きの認知症の人に声をかけるなど、大事な戦力になってくれるのではないか」と期待する。

 認知症サポーター制度の事務局を担う全国キャラバン・メイト連絡協議会によると、自治体のほか、スーパーやコンビニ、マンションの管理者など生活に身近な企業でサポーターの養成が進んでいる。県内のサポーターは3月時点で18万8549人で、3年前の1・6倍に増えた。

 菅原弘子代表は「サポーターは何か特別なことをするわけではない。認知症について正しい知識を身につけて、近所の人を見守ったり、認知症の人の家族の話し相手になったりして、心配なことがあれば専門家に連絡してほしい」と呼びかけている。

 県によると、2030年に県民の3人に1人が65歳以上になり、うち2割(約12万3千人)が認知症になると推計される。(高木文子)

認知症の人への対応のポイント

・まずは見守る

・余裕を持って対応する

・声を掛ける時は1人で

 (複数で取り囲むと恐怖心をあおりやすい)

・後ろから声をかけない

・相手に目線を合わせてやさしい口調で

・おだやかに、はっきりした話し方で

・相手の言葉に耳を傾けてゆっくり対応する

(全国キャラバン・メイト連絡協議会の資料から)

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 〈認知症サポーター〉 認知症への理解を深める養成講座を受けるとサポーターになれ、目印の「オレンジリング」をもらえる。市町村の窓口は「認知症サポーターキャラバン」のホームページで調べられる。