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 6月4日朝、「あの人」から長浜北野球部(滋賀県長浜市、部員46人)に贈り物が届いていた。白と青色の袋の中にスパイクシューズ2組とバット7本、Tシャツ3枚。どれも新品で、初めて贈られた2013年5月から23回目になる。贈り主の手がかりはなく、部員たちは「タイガーマスクからの贈り物」と呼んでいる。

 初めてのとき、安本利久監督は贈られたバットなどを「忘れものだろう」と考えて警察に届けた。だが、その後もキャッチャーミットや道具の手入れ用品、体力作り用のゴムチューブなど多岐にわたって続いている。6年間で約300点。「これは誰かのご厚意かもしれない」と受け止めるようになったという。

 今の長浜北は、甲子園に春夏各1回出場した長浜北と、夏の甲子園出場1回の長浜が統合して16年に開校した新しい学校だ。昨春には長浜の旧校舎があった場所に移転したが、贈り物は追いかけるように届けられている。

 誰が――。「お金持ちの40~50代の男性」「軟式用の道具も含まれているから、野球は詳しくないけれど野球好きの人」。部員たちは、そう想像している。

 今回の受け取りの2日後、練習を終えた3年生たちが画用紙に「多くの野球用品をありがとうございます」「これからも全力で頑張っていくので応援よろしくお願いします」などと書き込んだ。

 その後、野球部全体の思いとして、人通りの多いグラウンド裏の道沿いに設けた掲示板(縦約1メートル、横約2・5メートル)にお礼の画用紙と、これまでに贈られた道具の写真22枚を貼り付けた。いずれも初めての試みだ。3年生のマネジャー大西歩奈さんと脇阪晴佳さんは「チームはタイガーマスクに愛されている。看板を見てくれたら」と期待した。

 安本監督は部員たちに「これだけ応援してもらっているんやから、応援し続けたいと思ってもらえる行動を、地域や学校生活の中でも自然にできるように」と教えてきた。地域でのあいさつを欠かさない中川拓夢主将(3年)は「あの人は試合結果だけでなく、地域への貢献も期待していると思う。『自分が贈った』と言わず、本当にすごい」。

 長谷川凜選手(3年)は昨夏の滋賀大会で失策したことを反省。贈られたスパイクを履き、連日のノック練習で守備を鍛えている。「大会には見に来てくれると思う。一生懸命なプレーで恩返しがしたい」

 部員の思いは決まっている。姿を見せないが温かく見守る「あの人」に勝利で応えることだ。(北川サイラ)