【動画】「こぎつね教室」で日本語を教わる外国籍の子どもら=前川浩之撮影
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 外国人の子どもの教育支援を充実させる方針を文部科学省が打ち出した。「外国人の受け入れと共生」に向けた一歩という位置づけだが、就学支援などを既に進めている地域では予算的な課題も浮かぶ。

 17日午後、愛知県豊川市のビルにある無料の日本語教室「こぎつね教室」に、外国にルーツを持つ小中学生が続々と集まった。日系ブラジル人の中学2年青木レオナルド君(13)は「漢字が面白い」と漢字ドリルに向かっていた。

 教室は市が2009年度から独自に開く。「日本語力がほぼゼロ」の子どもらにも対応するため、日本語教師やボランティアが週4日で半年間、平仮名から教える。年間の予算は約880万円と見積もっていたが、今年は「待機」が8人出て、教師を増やす補正予算案を組んだ。国からの補助金は年によって増減し、市民協働国際課の辻卓也課長補佐は「国が安定して予算を出してくれると、事業がしやすい」と話す。

 外国人が多く住む東海地方では、就学に向けた取り組みも進む。名古屋市はこれまで英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、フィリピン語の6カ国語で市立小学校の入学案内を送り、今年度からはネパール語とベトナム語を加える。ただ、市教委は「就学義務がない以上、希望がない場合は勧めることは難しい」と明かす。

 浜松市も11年度から「不就学ゼロ」を目指す。住民基本台帳と学齢簿、外国人学校在籍者のデータなどを重ね、就学状況を調査。就学していないとみられる子どもがいた場合は、通訳を交えて家庭訪問を行う。市国際課の担当者は「定住化が進み、同じ社会の担い手になる子どもたちにも、教育を受けて欲しい」と話す。

 文科省は高校入試でも、漢字にルビをふったり、特別枠を設けたりする配慮の充実を求めている。

 15歳でフィリピンから来日したパレル・ハンズ2世さん(25)は2011年、全国に先駆けて外国人生徒向けの「特別枠」を設けた大阪府立長吉高を受験した。当時は、夜間中学で日本語を学び始めて1年半。「特別枠がなかったら、とても高校へは行けなかった」と語る。

 昨年、地元の私立大を卒業して英語教師になり、今は同じように外国人生徒を受け入れる府立成美高で常勤講師として働く。「高校で出会った先生のようになりたいと思って、がんばってきた。あの時、高校に入れたことで、今の自分があると思っています」

 長吉高に18年勤める神山(こうやま)和英教諭(63)は「日本語をうまく話せないことで小中学校になじめず、自信を失う子は多い。特別枠を設ける高校で、生徒が自信を取り戻す意義は大きい」と言う。大阪府教育庁は現在、7高校で外国籍生徒各10~16人の特別枠を設けている。小4以降に来日した生徒が対象で、試験は数学と英語、母国語の作文のみ。この春は5校が募集定員を満たした。

 他の教委も配慮を進めている。神奈川県教委は06年度から、NPO法人とともに、ベトナム語やカンボジア語など10言語で「公立高校入学のためのガイドブック」を出す。東京都教委は高校入試で、日本語指導を必要とする受験生に辞書の持ち込みを認めたり、漢字にルビをふったりする対応をしている。(玉置太郎、山下知子)