インターネットで人気を集めるニュースメディアが、記事や情報の「質」を高める模索を始めている。質を確保する上で避けて通れないのは、収益構造の問題だ。(林幹益、土屋亮、赤田康和)
スマートフォン向けのニュース配信サービス「スマートニュース」や、ニュースと娯楽情報を配信する「バズフィードジャパン」などは「インターネットメディア協会」をつくり、今月8日に設立記念シンポジウムを開いた。「ネットで社会に貢献したい。(ネットメディアは)信頼できる情報を届ける存在でありたい」。スマートニュースメディア研究所所長で、協会の代表理事を務める瀬尾傑(まさる)氏はこう宣言した。加盟した媒体は40に上る。
設立の背景には、2016年以来、ネットを揺さぶる「フェイク情報問題」がある。当時は米大統領選のほか、日本国内でも医療情報サイト「ウェルク」などの不正確な情報が問題になった。新聞通信調査会の昨年の調査でも、ネットの信頼度は、新聞、テレビを下回る49・4点で、10年前と比べ10点近く下がった。
協会は各メディアの表現の自由を重視する立場から、強制力のあるルールは設けないものの、「会員社はユーザーの信頼を得られるよう努力する」といった倫理綱領を定める予定だ。
電通によると、昨年のネットの広告費は1兆7589億円。テレビの1兆9123億円に迫る。ただ、ニュースなどの情報発信サイトは約2千に上るとされ、競争は激化している。
協会のシンポジウムでも現場…