勝田敏彦
海や川などに漂うごくわずかな「環境DNA」から、そこにどんな生きものがいるかを調べられるようになってきた。野外作業は水をくむだけ。広域で定点観測すれば、生態系の中長期的な変化を天気のように予報できるかもしれない。
「環境DNA」とは、環境中に存在する生き物のDNAのこと。水の中には魚や両生類、昆虫などの粘膜やふんなどに由来するDNAがわずかに漂っている。水1リットル中に数十個といったレベルだが、狙ったDNAの量を効率よく増やす「PCR法」を使えば検出できる。
ビーカーなどで水をすくい、濾紙(ろし)でこすなどしてDNAを濃縮・抽出し、分析装置にかける。DNAの塩基配列から、生き物がそのあたりに「いる」ことがわかる。捕まえたり、目で見て確かめたりする手間がかからないため、生態系の調査手法として急速に広がっている。
神戸大の源利文准教授は「コロンブスの卵みたいなものです」と話す。
魚などのDNAは水中ですぐに…
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