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 「路上」に立ってこそ見えてくる風景があり、聞こえてくる声がある。東日本大震災の原発事故被災地に生きる人々を自転車で訪ね歩いた旅の記録『線量計と奥の細道』(幻戯書房)で第67回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したドリアン助川さん。旅の延長線上で考えていることを寄稿していただいた。

 なにものかが蹂躙(じゅうりん)されつつある、がさつな時代だと思う。経済界や政界のえらいおっちゃんたちが、自らの人間性にふたをして恣意(しい)的に始めたに違いない「不感」の姿勢。これが横町から高層ビルのてっぺんにまであふれ、なんとなくこの国の空気になりつつある。息を吸うと不感が忍びこむ。マスクをしている若者が多いのはそのせいなのか。

 私とて、知らずに隣の客の酒を飲んでしまったりして、しかも笑ったりするものだから、無神経だと責められることはあるが、敢(あ)えて言葉を試みるなら、不感は極力避ける「積極的感受」の立場で小説やエッセイをしたためてきたつもりだ。

 かつては突出こそが力だと勘違いし、つま先立ちで生きてきた。しかしどこをどうつねっても才能と呼べる煌(きら)めきを見つけられず、長く滞在したニューヨークから戻ってきた。四十歳で無職、足元にはぺんぺん草しか生えていなかった。

 私はいろいろとあきらめた。華…

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