[PR]

【アピタル+】患者を生きる・眠る「レビー小体病」(幻視への対応)

 もし家族が「レビー小体病」と診断されたら、どう向きあえばいいのでしょうか。ケア専門職や看護職、専門医らでつくる「レビー小体型認知症サポートネットワーク」の東京代表で、レビー小体病だった父親の介護経験を持つ長澤かほるさん(62)に話を聞きました。

レビー小体病
脳や自律神経にたんぱく質のかたまり「レビー小体」ができて、細胞が壊されていく病気。初期に多くみられるのが、眠りの浅い「レム睡眠」で体が動く「レム睡眠行動異常症」。失神や便秘、嗅覚(きゅうかく)障害などの症状もある。

 ――レビー小体病の初期症状として「レム睡眠行動異常症」が挙げられます。お父様の場合は。

 父にも、50代後半ごろから、夜中に突然「うわーっ」と大きな声を出したり、会議で発言しているような寝言が5分ぐらい続いたりなどの症状がありました。しかし、当時はレビー小体病の初期症状とは思わず、仕事のストレスぐらいに思っていました。夢か現実かわからない状態で、大きい動きをしたり、声を出したりしている場合は、一度診察を受けてみるのもよいのではないかと思います。

 ――レビー小体型認知症の特徴とは。

 もの忘れが主な症状のアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と異なり、レビー小体型認知症は「幻視」「認知の変動」「自律神経症状」「パーキンソン症状」などが特徴的な症状です。私の父もレビー小体型認知症と診断され、約3年後に79歳で亡くなりましたが、よく幻視が見えていました。

否定せず、受け止めて

 ――患者に幻視が見えているとき、家族はどう対応するべきでしょうか。

 ある日、父が「窓枠から光線が出ていて、家の中に子どもがぞろぞろ入ってくる」と言いだしたことがありました。父と一緒に光線が出る場所を確かめに行くと、引き窓を開けたときにカギの部分が窓枠にあたらないようにするストッパー部分でした。ドライバーを持ってきて、ストッパーを外し、「ここから光線って出るのかな?」と尋ねると、父は「こんなものから光線が出るわけないか」と納得。その幻視は消えました。

 ある時は、夜、トイレに行くと、男の人が廊下に座っていていやだと言いだしました。その場所にあったのは、母の手芸道具が入った段ボール箱。父と一緒にいらなくなったシーツを掛けると、男の人の幻視は消えました。

 患者に幻視が見えるとき、それを頭ごなしに否定せず、受け止めつつも、「私たちには見えていない」「見えるのは病気のためだ」ときちんと伝えることが大事だと思います。一緒に見えている振りをすると妄想につながることもあります。かといって、頭から否定すると、関係性が崩れます。

 幻視の中には、見えていて差しつかえないものと、いやなものがあります。患者に幻視が見えているとき、「見えていて気持ち悪い?」などと聞いてあげて、いやなものは、原因となるものを一緒に取り除いてあげるとよいと思います。

◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・眠る>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・水戸部六美)