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 応援の声が響く。6月下旬、東京都府中市での全日本学童軟式野球大会の都予選。打球が二塁手のグラブをはじいて右翼手の前に転がった。

 「ボールが変わって打球がギューンと伸びる」。目黒区軟式野球連盟少年部長の深井利彦は感じた。

 大きく、重く、硬く。小中学生が試合で使う軟式ボールの規格が一昨年秋以降、変わった。バウンドが小さくなる一方、打球の飛距離は伸び、硬式ボールの感覚に近づいた。子どもの体格が大きくなったことへの対応と中学校の軟式野球から高校の硬式への移行もスムーズになるとの期待も込められている。

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 背景にあるのは「野球人口」の減少だ。全日本軟式野球連盟理事で都の連盟の牧野勝行専務理事は解説する。「野球を続けてもらうため知恵を絞らなければならない」

 全国の高校の硬式野球部員は2014年度の17万312人をピークに減少が続く。同年度に1万1267人いた都内も今年度、1万人を割り込む見通しだ。都内の中学の野球部員も15年度の1万2975人から1万354人に減る。先細りは現実だ。

 節目の100回大会を催した昨年、日本高野連と朝日新聞社、毎日新聞社の3者が「高校野球200年構想」で打ち上げたのが、子ども向けティーボール教室だ。ティーに置いた柔らかな球をバットで打つ。野球に触れてもらうのが狙いだ。

 岩倉の永田拳聖選手(3年)は昨冬の自校での教室を振り返った。「楽しそうだった。野球を始めるきっかけになってくれればいい」。チームとして、どうしたら子どもらが楽しめるかを考えて臨んだ。

 参加したのは園児や小学生の約50人。選手たちは「にっしー」「あべちゃん」「きゃぷてん」など親しみやすい呼び名を示したビブスを身につけて指導した。ボール拾い競争や的当てなども組み込んだ。

 都高校野球連盟は昨年度、39校34会場で教室を催した。野球振興部の本橋良男常務理事は「選手から教わったことも記憶に残る。保護者にも理解や共感を広げたい」と話す。今年度は開催数を増やす意向だ。

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 渋谷の街では駅の移設が進み、新たな高層ビルが次々と建つ。一画のビルに6月中旬、都高校野球連盟と都軟式野球連盟、東京ティーボール連盟の関係者たちが集まった。

 一堂に会したのは「野球離れ」への危機感から。ティーボールで野球に興味を持ってもらい、小中学校で軟式野球、そして硬式中心の高校野球、さらに大学・社会人へ……。遊びから野球が好きな子どもを増やし、スポーツへとつなげるため、3者は連携を図ると合意した。=敬称略(山田知英)