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【まとめて読む】患者を生きる・眠る「レビー小体病」

 寝ていると悪い夢をみて、声を出したり、暴れたりしてしまう――。東京都品川区のタクシー運転手、櫻井完治(さくらい・かんじ)さん(76)は、長年、そんな症状に悩まされてきました。仕事のストレスで片付けてきましたが、実は意外な病気が潜んでいました。

払いのけられた妻は骨折

 「うわー!」。2018年5月の深夜、櫻井完治さん(76)はベッドで叫び声をあげた。隣で寝ていた妻みどりさん(70)は驚いて目を覚ました。

 うなされていると思い、体をゆらして起こそうと、みどりさんが手を伸ばした。その瞬間、力いっぱい払いのけられた。

 激痛が走り、思わず「いったーい!」と叫んだ。朝までがまんしたが、手は紫に変色し、指がぱんぱんに腫れた。右手の小指がはくり骨折していた。

 翌朝完治さんに尋ねると、悪夢にうなされていたという。仕事でタクシーを運転していると、態度の悪い客が殴りかかってくる――。夢のなかで客の手を振り払ったつもりだったが、実際にはみどりさんの手だった。

 完治さんはこれまでも寝ている間に、大声で叫んだり、暴れたりすることがあった。いつも同じような悪夢にうなされていた。

 現実の世界では、乗客に決して口答えすることはない。どんな理不尽なことを言われても耐えている。しかし、なぜか夢のなかではけんかしてしまう。ベッドのうえではそのとおりに体が動き、声が出る。客に殴られそうになって叫んだり、よけようとしてベッドから落ちたりした。

 夢の中で回し蹴りをしようとしたつもりが、寝室のドアを蹴り、足の指の爪がはがれたこともある。それでも、完治さんもみどりさんも、仕事のストレスでうなされているのだ、と長い間思っていた。

 骨折から約10日後。みどりさんはかかりつけの歯科を受診した際、歯科医から包帯を巻いた手について尋ねられた。

 起きたことを伝えると、歯科医から言われた。「それ、レビー小体病じゃない?」。何、それ? 初めて聞く病名だった。

 帰宅し、みどりさんはネットで検索してみた。脳や自律神経などに「レビー小体」という特殊なたんぱく質のかたまりができ、細胞を壊していく病気で、症状の一つに睡眠時の行動異常がある。便秘や嗅覚(きゅうかく)の低下……。そこには、ほかにも完治さんに思い当たる症状が記されていた。

■脳波や筋肉の動き…

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