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 日産自動車が25日の定時株主総会に諮るガバナンス(企業統治)改革に向けた議案について、筆頭株主の仏ルノーは20日、投票を棄権する意向を撤回し、議案に賛成することで日産と合意した、と発表した。ルノーの棄権で議案が否決され、ガバナンス改革が頓挫する事態は回避される。

 ルノーが棄権の意向を示していたのは、現行の監査役会設置会社から「指名委員会等設置会社」への移行に必要な定款変更議案。社外取締役による経営監視を強め、ガバナンス改革を進めるための重要議案と位置づける日産は、否決の回避にはルノーへの譲歩が必要と判断。ルノーの要求を受け入れる形で、ルノーのティエリー・ボロレCEO(最高経営責任者)にポストを新たに用意することを打診した。

 具体的には、指名委員会等設置会社への移行に伴って新設される「指名」「報酬」「監査」の三つの委員会のうち、監査委員会の委員にボロレ氏を就ける修正案を提示した。日産は当初、ルノーのジャンドミニク・スナール会長だけが委員ポストに就く人事案を提示していたが、ルノーに用意するポストを増やす方針に転じた。

 ルノーは20日、「日産が新しい委員会で二つのポストをルノーに割り当ててくれたことを喜んで受け入れる」とする声明を出した。

 一方、日産は21日未明、3委員会のメンバーを含む取締役会の人事案を発表した。指名委の委員長には豊田正和氏(日産取締役、日本エネルギー経済研究所理事長)、報酬委の委員長には井原慶子氏(日産取締役、レーサー)、監査委の委員長には永井素夫氏(日産常勤監査役、元みずほ信託銀行副社長)が就く。

 また、取締役会議長には木村康氏(JXTGホールディングス相談役)、副議長にはスナール氏、筆頭独立社外取締役には豊田氏が就く。いずれも株主総会後の取締役会で正式に決まる見通し。

 指名委員会等設置会社への移行は、外部有識者らでつくる「ガバナンス改善特別委員会」が3月にまとめた報告書の内容に沿って決めた。3委員会の人事案も、おおむね報告書に沿ったものだ。ただ特別委は、監査委の人選について「主要株主の役員経験者が就くのは望ましくない」と提言しており、日産はボロレ氏の処遇については、提言に沿わない譲歩を強いられた。

 日産社内では、ルノーの強硬姿勢に不満を募らせている幹部が少なくない。ガバナンス改革の頓挫は避けられたが、ルノーとの溝が埋まったとは言えず、株主総会の後も、ルノーとのせめぎ合いは続きそうだ。