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 刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする香港の「逃亡犯条例」改正案への抗議活動が続いている問題で、数万人に上るとみられる若者らが21日、12日の衝突で拘束された学生らの釈放などを求めて香港中心部の警察本部を取り囲んだ。香港政府は「条例改正作業は完全に停止した」との声明を出したが、デモ隊は撤退する気配を見せず緊張が続いている。

 デモ隊は警察本部前の道路を占拠。「学生を釈放せよ」「我々は暴徒ではない」などと声を張り上げ、警官隊に次々と卵を投げつけるなどした。警官隊は庁舎に退き、シャッターを下ろして庁舎を封鎖した。

 警察はデモ隊に撤収するよう警告しているが、21日午後11時(日本時間22日午前0時)現在、強制排除には乗り出していない。若者が警察の敷地内に入り、警察官と小競り合いになる場面もあった。

 21日は学生団体が政府本部を包囲しようと呼びかけていたが、政府本部が閉鎖されたため、デモ隊は警察本部に集結。数百人が税務当局や入管当局の入る近くのビルに押し入り、ロビーなどを一時占拠した。警察本部周辺の幹線道路も若者らによって封鎖された。香港メディアによると、警察本部の内外に3千人を超える警察官が動員され、警戒を強めているという。

 学生団体は、12日のデモで警官隊と衝突した若者の行動を「暴動」と表現した林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の発言の取り消しも要求している。

 混乱の広がりを受け、香港政府は21日夜、声明を発表。警察の緊急通報サービスなどに影響が出ているなどとしたうえで、「改正案は(現在の議員の任期が実質的に終わる)来年7月に自動的に失効するが政府として受け入れる」として、改正案は事実上、廃案になるとの見通しを示した18日の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の見解を繰り返し、事態の収拾を図った。(香港=益満雄一郎)