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 子育てに支障が出る転勤に応じなかったことで懲戒解雇されたのは不当だとして、NEC子会社の元社員の男性(53)が解雇の無効などを求め、近く大阪地裁に同子会社を提訴する。社員の転勤をめぐっては最高裁が1986年、会社側に幅広い裁量を認める判断を示したが、男性側は2002年施行の改正育児・介護休業法で会社側に義務づけられた「転勤時の配慮」を怠っていると主張するという。

 男性が勤めていたのは、ITシステムを手がけるNECソリューションイノベータ(東京)。男性側の代理人弁護士らによると、男性は2016年からNECのグループ企業に出向し、大阪市内で郵便物の仕分けなどを担当していた。昨夏にその拠点の閉鎖が固まると、上司から川崎市への転勤か、退職金が上乗せされる希望退職を選ぶよう何度も求められたという。NECは当時、グループで従業員を3千人減らす計画を進めていた。

 男性は大阪府内で長男(11)、母(75)と3人暮らし。長男は学校でも月3~4回は持病による嘔吐(おうと)などの症状が出ているという。母も白内障などを患っており、男性は転勤や再就職先探しは難しい、と会社に説明してきた。

 今年2月に会社側から、15年以上前に経験したシステムエンジニアへの復帰を打診されたが、男性は最新の技術に不慣れで補助的業務しかできないと回答すると、次にビル清掃会社への出向を提案された。多くの顔見知りがいるなかでトイレ掃除などをすることになるため、男性は「退職に応じなかったことへの見せしめだ」と感じて拒んだところ、人事担当幹部に「あなたが自分の意思で選んだ結果だ」と言われ、川崎への転勤を発令された。着任日は1カ月延期されて4月中旬になったが、男性は赴任せず、転勤命令違反で4月17日に懲戒解雇されたという。

 男性側は、川崎への転勤命令は著しい不利益を与え、退職に追い込む目的があったとして、人事権の乱用だとも主張する。NECは「本人の意向や家庭の事情を考慮し、最大限の配慮をした。対応に問題はなかった」(広報)としている。(内藤尚志)