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 地震に遭った文化財をどう救い出し、修復したのか。3年前の熊本地震による被災文化財の実例を多数紹介する企画展が、熊本市中央区の熊本県立美術館本館で開催中だ。

 同県内にある国や県の指定・登録文化財は2割超にあたる159件が被災した。一方、未指定のものなど4万点近くが、文化庁や県などのレスキュー事業で救出された。

 今回、被災したり修復されたりした文化財など50点超を展示する。会場で最も目立つ高さ約2・7メートルの木造千手観音菩薩(ぼさつ)立像(平安~鎌倉時代)は益城町の千光寺の本尊。地震で転倒、損傷したが、住友財団の助成を受け、約2年にわたる修復を終えた(9月10日から九州国立博物館で展示予定)。全壊した御船町のアトリエから救出され、修復が済んだ洋画家の故・田中憲一さんの作品もある。

 被災を機に新たに把握された文化財も。細川家の家臣「築山(つきやま)家」の文書類(江戸時代)からは、京都に拠点を置いて上方(かみがた)方面の活動を担っていた内容が初めて明らかになった。商家の蔵から救出された細川家御用絵師矢野良勝の「七滝図屛風(びょうぶ)」(同)からは、大名家が享受したのと同じ文化を町人が共有していたことがわかる。「賀茂競馬(くらべうま)図屛風」(同)は京都・上賀茂神社の神事を描いたもので、京都の風俗を描いた屛風が熊本で確認されたことは珍しいという。

 山田貴司学芸員は「地震が起きるまで、文化財を救う仕組みもノウハウもなかった。一般の人だけでなく文化財保護に携わる関係者にも見てほしい」と話す。

 「熊本地震と文化財」は7月7日まで。1日休館。(小西孝司)