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 第101回全国高校野球選手権埼玉大会(県高野連、朝日新聞社主催)が10日、開幕する。152チームのうち唯一の初出場が浦和麗明(さいたま市浦和区)。グラウンドの草むしりから始まった野球部は、創部1年で60人を超える大所帯となった。

 「道具も何もない。ゼロからのスタートだった」

 佐藤隼人監督(35)は同じ学校法人が運営する叡明(埼玉県越谷市)の野球部長だった2017年7月末、浦和麗明への異動内示を受けた。翌春の共学化に合わせて新設されるという野球部の監督を任された。

 選手をどう集めるか。グラウンドには草が生い茂り、ネットはぼろぼろ。とても野球ができる環境ではなかった。

 9月から毎日、矢菅隆部長(45)と土日も返上で草むしり。教員たちと中学校をいくつも訪問し、新たな歴史を作るやりがいを説いて回った。15人の目標に対し、入部者は予想を超える40人。佐藤監督は「新しいチームに魅力を感じてくれたのだろうと思いました」と振り返る。

 18年4月、いよいよ始まった新入生だけの野球部。現主将の今井元気君(2年)は「どんどん試合に出られる」と思ったが、部員の多さに驚いた。最初の2週間は草むしり。トレーニングルームも自分たちで作り上げた。

 教えてくれる先輩はいない。今も、「どういう姿が先輩として正しいのかわからない」が、周りに協力してもらいながら、手探りでチームを引っ張る。

 昨秋の県大会地区予選1回戦。大宮北にあと一歩のところで逆転され、1点差で敗れた。佐藤監督は「負けることが悔しいとわかってから、選手たちは貪欲(どんよく)にやりだした」と振り返る。

 改修工事でグラウンドが使えなくなった今年2月中旬以降は、体作りが9割。女子校時代の別のグラウンドで、他部の練習後に1時間だけノックをするなどして、集中して取り組んだ。改修工事は5月末、ようやく終わった。

 現在は1、2年生だけで62人。「精神的に一皮むけた」(佐藤監督)選手たちは取られては取り返す接戦をものにして、春は県大会に出場した。

 佐藤監督は「野球が楽しいと思えるのは夏の大会。あの空気を感じてほしい。初勝利を飾りたい」。今井君も「秋、春とは違う雰囲気。次につながるように、経験を積みたい」と意気込む。初戦は13日の県営大宮球場。相手は春8強の西武台だ。「全力と挑戦」をテーマに、チームは初めての夏に挑む。(高絢実)